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任天堂が提訴のマリカー、著作権侵害は成立せず?発想は素敵だが「絶対許されない」理由

文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士
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 では、株式会社マリカーのウェブサイトに掲載されている「お客さんにマリオやヨッシーのコスチュームを着せてマリカーで走行している写真」に「マリオの本質的な特徴」があるかどうかですが、「赤いシャツ、青いオーバーオール」というのはわからないでもないですが、「マリオっぽい格好」をしているだけで、「アニメーションのイラスト」と「実物の写真」という決定的な違いもあり、正直、マリオの本質的な特徴を表しているとは思えません。したがって、著作権侵害を追及するのは、難しいと思われます。

 次に(2)についてですが、要するに「マリカー」という名称で、お客さんに「マリオ」っぽい格好をさせて、「マリオカート」っぽいカートに乗せて、これをウェブサイトなどで紹介(営業)すれば、普通の感覚を持った人なら、「任天堂と関係がある会社・サービス」と誤解するはずです。

 そして、任天堂は世界的な企業ですし、マリオ自体も、安倍首相がリオオリンピックで紹介するくらい有名ですから、株式会社マリカーは、いわば任天堂がこれまで大金をかけて培った名声、ブランド力に“フリーライド”(ただ乗り)することができてしまいます。

 不正競争防止法は、こういった「お客さんを引き付ける商品やサービスの魅力」(顧客誘引力)も法的にしっかりと保護し、他社の「魅力」を勝手に悪用することを禁止していますので、損害賠償の対象となります。

 以上のとおり、(1)の著作権侵害が認められるのは難しいでしょうが、(2)の不正競争防止法違反は“固い”(=認められる)と思われます。

 外国人の観光客にも人気のようであり、マリカーの発想はとても素敵ですが、はっきり言って、車道を走っている彼らは(道交法をクリアしているとはいえ)迷惑以外のナニモノでもありません。

 そして、どこかの国ならともかく、「知的財産」という権利がしっかりと確立している日本において任天堂との話し合いもなくこのようなサービスを提供するのは、決して“ノリ”だけでは許されません。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士

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