ヘイトスピーチ的な排外主義教育を幼稚園で行っている森友学園が、大阪府豊中市に「瑞穂の國記念小學院」を開校するに当たって、国有地を周辺土地評価額の14%の価格で取得した問題は、政治家の口利きがあったかどうかに焦点が当てられている。
自民党の鴻池祥肇参院議員は、3月1日の記者会見で、森友学園の籠池泰典理事長から陳情を受けていたことを明らかにした。2014年4月に議員会館に籠池夫妻が訪れた際には、鴻池議員に対して籠池夫人が封筒を泣きながら差し出したという。会見で鴻池議員はこう語った。
「ただ、それがカネであったか、コンニャクであったか。カマボコかういろうか知らん。確かめてへんから。だからあれはコンニャクでしたというなら、そうかなと思わざるを得ないな。しかし、現実として私が手で持って投げ返した」
政治の世界での隠語で、コンニャクは100万円、レンガは1000万円を意味する。
「政治家の顔を銭ではたくのは教育者とは違う。帰れ!」
鴻池議員は、籠池夫妻をそう怒鳴りつけたというから、金だと認識して受け取りを拒否したのだろう。それまで、籠池氏らが鴻池事務所を訪れて、「上から政治力で早く決断が得られるようにお願いしたい。土地価格の評価額を低くしてもらいたい」など秘書らに訴えていたことは、共産党の小池晃書記局長が入手した「自民党国会議員事務所の面談記録」で明らかになっている。そこには「ウチは不動産屋ではない」という秘書の感想も書き込まれていた。
鴻池議員の会見を受けて、森友学園の代理人弁護士は封筒の中身について「商品券を入れていた。鴻池氏が以前入院した時のお見舞いのつもりで、3万円分だった」と語っている。
違法性はない?
この行為が事実であったのなら、どのような法的問題が生じるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏はこう語る。
「まず、『国有地払い下げについて、国会議員に働きかけを依頼し、かつ、商品券を渡した』が真実なら、森友学園の理事長は、『贈賄罪(刑法198条、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金)』に問われる可能性があります。もっとも、贈賄罪に問われるかどうかのポイントは、『財務省の担当者が、土地の払い下げに関して不正な行為をしたかどうか』によります。
要するに、賄賂は公務員(政治家も含む)に対し、その公務員が現に担当している仕事について何かをお願いするために支払うもの(なお、実際に不正な行為をさせるかどうかは関係がなく、あくまで公務員の担当の仕事に関して賄賂を渡すことが重要)なので、今回の土地の払い下げに関係ない鴻池議員が商品券をもらったところで、実は、基本的には何も違法ではありません。