しかし、鴻池議員が自分の仕事についてではなく、土地の払い下げを担当している財務省の担当者に指示を出したりして賄賂をもらい、その財務省の担当者が『不正な行為』を行うことが、犯罪が成立する条件となります。これを、賄賂をもらった側からいえば、『あっせん収賄罪』となります。
そこで、今回財務省の担当者が、土地の払い下げに関して『不正な行為』をしたのかどうかですが、8億円の土地を1億円で払い下げたなら、『不正な行為』でしょう。しかし、ゴミが埋まっているからその撤去にかかる分を差し引いたというロジックが通るなら、不正でもなんでもありません。まずは、この点の真実究明が肝心です」
「贈賄」未遂?
鴻池議員は、籠池理事長が手渡そうとしたものを拒絶しており、まず「あっせん収賄罪」は成立しない。籠池理事長もお願いするための支払いに成功しなかったことになり、「贈賄罪」の成立も難しい。
3月3日付読売新聞では、中川隆弘・大阪府議(大阪維新の会)が、府私立学校審議会が財務状況への懸念などから「瑞穂の國記念小學院」への認可答申を保留した2014年12月の直後に、籠池理事長からの要請を受けて、豊中市内で面会していたと報じられた。13年の3月に、黒川治・兵庫県議(自民)は鴻池事務所への取り次ぎを求められたことも、同記事で明らかにされている。
だが、それらの議員との間でも贈収賄があったとは考えにくい。過去の贈収賄事件を見ても、渡されているのはレンガの山である。コンニャクでは罪に問われるリスクを背負おうとは思わないだろう。
鑑定価格9億5600万円から「ごみ撤去費」として見積もった8億1900万円などを差し引いた1億3400万円で国有地を買った森友学園は、代金を10年間の分割払いとすることで契約を成立させた。金で政治家を動かすような資金力が、森友学園にあるとは考えられない。
国有地の売却で分割払いは、前例がない。ごみ撤去費の見積もりは、第三者の専門家が行うものだが、今回は大阪航空局が行った。これも前例のないことだ。籠池理事長は11年9月頃、借入金に関する学校設置認可基準の緩和を府に求め、府は12年4月、要望通りに基準を改正した。すべて異例ずくめのウルトラCだが、違法ではないようだ。
つくられるストーリー
安倍晋三首相の昭恵夫人が「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長を務めていたことが問題になっているが、「週刊新潮」(新潮社/3月9日号)では、官邸関係者の次の言葉が紹介されている。