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日経新聞『私の履歴書』の呪い…「美談」執筆直後に不祥事や倒産続出、執筆断る経営者も

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日産自動車社長を退任したカルロス・ゴーン氏(つのだよしお/アフロ)

 かつて、日本経済新聞名物の『私の履歴書』を執筆すると、数年以内に亡くなると信じていた経営者がかなりいた。実際に、貿易業界を代表するほどの大手総合商社の元幹部は、今でも「書かないつもりだ」と語る。この元幹部は、かつて部下に『私の履歴書』を執筆した経済人が、執筆後何年生きたか調べさせたことがあるという。なかには執筆後に倒産した企業も存在する。

 2017年に入り、「『私の履歴書』の呪い」という言葉が復活した。

 1月の執筆者はカルロス・ゴーン日産自動車社長だった。2月23日にゴーン氏は、日産の社長と最高経営責任者(CEO)を辞任すると発表し、4月1日付で西川廣人共同CEOが社長兼CEOに就くことになった。

 2月の執筆者は大橋光夫・昭和電工最高顧問だった。昭和電工は3月1日、16年12月期の連結決算の発表を再延期した。上場子会社の昭光通商の子会社(昭和電工の孫会社)が行った取引で、物品が実在したかどうかが疑問視され、調査が必要になったための措置だ。2月13日に「会計処理を精査するため」として決算発表を延期していたが、再延期されたことで株式市場では様子見の姿勢が強まった。

 調査期間は確定していないが、有価証券報告書の提出期限である3月31日までに調査を完了するのは困難とみられている。先行きに不透明感が増したことから昭和電工の株価は下落、特に再延期を発表した翌日の3月2日には一時、9%安と急落した。

 3月30日に予定している定時株主総会に配当議案を提出できなくなったため、16年12月期の年間配当(年30円を予定)を取りやめ、14期ぶりに無配に転落する。

 有価証券報告書の提出の1カ月延長が認められれば、5月15日がデッドラインとなる。仮にその日までに未提出なら、東京証券取引所は翌16日に整理銘柄に指定する段取りになる。

 現時点では、上場廃止になる確率は極めて低いとみられている。なぜなら、今や“ゾンビ企業”と揶揄されている東芝が昨年、有価証券報告書を提出できなかったケースで、2カ月延期のうえ、さらに7日間の再延期が認められているからだ。

昭光通商は過去にもトラブル


 昭光通商は、化学品や肥料の国内販売と輸出入を目的として1947年に設立されたメーカー商社で、東証1部に上場している。

 1986年、当時、日本最大の仕手集団といわれた三洋興産グループが倒産した。伝票と手形だけで実際に品物が動かない循環取引の輪が切れたのが原因で、その後、東証2部に上場していた2社や有力ベンチャー企業など100社を超える企業が連鎖倒産した。