ビジネスジャーナル > 企業ニュース > てるみくらぶ、詐欺の可能性
NEW

てるみくらぶ、詐欺の可能性…破産準備の一方で大々的に広告&料金徴収の疑い

文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates・パートナー弁護士、荻野正晃/同法人弁護士、高橋駿/早稲田大学大学院法務研究科、前里康平/同
【この記事のキーワード】, ,
てるみくらぶ、詐欺の可能性…破産準備の一方で大々的に広告&料金徴収の疑いの画像1てるみくらぶのHPより

 3月27日、旅行会社てるみくらぶ(本社・東京都渋谷区)が破産手続きを開始したというニュースが流れました。報道によると負債総額は100億円を超えているとのことであり、リーマンショック以来の旅行業者の倒産としては最大規模といわれています。

 突然の破産に、てるみくらぶで旅行を申し込んでいた多くの顧客が悲鳴を上げています。なかには、海外でホテルから宿泊を拒否されたり、復路の航空券を自前で用意しなければならない状況になるなど、かなりの混乱が生じているようです。

 さらに、破産となれば、旅行代金として振込んだお金のうち、返金されるのは1%にも満たないとのことで、「詐欺事件ではないか?」という声も上がっています。

詐欺罪(刑法246条)の成立

 では、果たしててるみくらぶ(厳密にいえば、代表取締役である山田千賀子氏や経営幹部など)に詐欺罪(10年以下の懲役)は成立するのでしょうか。

 この点、単に負債が多額に及んでいる状態であることを知りつつ顧客に旅行代金を振り込ませていただけでは、詐欺罪は成立しません。もっとも、「倒産が確実である」という認識がありながら、顧客との間で旅行契約を締結して旅行代金を振り込ませたのであれば、

「会社の現状からすれば、もはや顧客に対し旅行代金に見合う旅行サービス(航空券やホテルの手配・提供など)を提供することは不可能である」

という認識を持ちながら旅行代金を徴収していたわけなので、「金銭をだまし取る」ことにつき「故意」が認められ、詐欺罪(刑法246条)が成立する場合があります。

破産をいつから認識か

 そして重要なのは、てるみくらぶにこのような認識がいつの時点から生じていたのかという点です。

 今回、てるみくらぶは弁護士に依頼して破産手続開始申立てをしているようです。ここで、一般的な能力を有する弁護士であれば、通常、クライアントから債務整理を含めた破産申立ての依頼を受けてから「破産手続開始申立書」を裁判所に提出するまで、1カ月、諸事情により“特急”で申し立てる場合であれば約2週間ほどかかります。

てるみくらぶ、詐欺の可能性…破産準備の一方で大々的に広告&料金徴収の疑いのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!