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安倍政権、正規と非正規社員の格差是正が失敗の公算…非正規の待遇改善が何もされず

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首相官邸 HP」より

 安倍政権の働き方改革実現会議が「働き方改革実行計画」を発表した。最大の目玉は「残業時間の上限規制」と「同一労働同一賃金原則」の法制化であるが、同一労働同一賃金については、早くも非正規労働者の処遇改善にはつながらないのではないかという懸念も出てきた。

 実は昨年末に実現会議が「同一労働同一賃金ガイドライン案」を出したとき、政府の関係者は「このままでは同一労働同一賃金の法制化は当初描いていたものと大きく変わり“馬糞の川流れ”になるかもしれない」と囁いていた。つまり、バラバラにされて雲散霧消してしまう可能性があるということだ。

 安倍政権の「働き方改革」を主導しているのは所管の厚生労働省ではなく、内閣府の「働き方改革実現推進室」である。そして同一労働同一賃金導入の理論的支柱として議論をリードしてきたのが、EUの非正規問題に詳しい水町勇一郎東京大学教授(労働法)だった。

「大きく変わる」とはどういうことなのか。当初政府と水町教授は、正規と非正規のヨーロッパ並みの格差是正を図るために、格差に不満を持つ非正規労働者が裁判に訴えやすくするように現行の法律を改正することを検討。同時に裁判の指標となる具体的な賃金などの処遇の基準を政令で示し、企業にそれに応じた格差是正など賃金制度の見直しを促すことを狙っていた。

 具体的に説明しよう。非正規には有期契約労働者、パートタイム労働者、派遣労働者が入るが、現行の労働契約法とパートタイム労働法でも不合理な待遇差を禁じる規定がある。労契法20条、パートタイム労働法8条では「労働条件の相違がある場合、その相違は不合理と認められるものであってはならない」と謳い、正規と非正規の差別を禁止している。

 ただし、不合理かどうかを裁判官が判断する場合は、(1)職務の内容(責任の程度)、(2)当該職務の内容及び配置の変更の範囲、(3)その他の事情――という3つの考慮要素に照らして合理的かどうかを判断することになっている。つまり、職務内容や責任の程度が違えば格差があるのは合理的、その他の事情があれば合理的になるということだが、いったい具体的に何を指しているのかさっぱりわからない。

 簡単にいえば、裁判官の裁量で幅広の解釈が成り立つような建て付けになっているのだ。しかも労働者が「この格差はおかしい」と裁判所に訴える場合は、「どこがどのようにおかしいのか」を立証しなくてはならない。労働者にとって裁判のハードルが高く、しかも3つの考慮要素があるために勝つ見込みも保障されない。

 実際にパートタイム労働法を根拠に裁判に訴えた事例はなく、労契法20条を根拠に訴えた裁判では、1審と2審で真逆の判決が下された例もある。

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