突然ではあるが、ビジネスの現場で使われる、次の略語の意味を答えられるだろうか?
(1)「B to C」
(2)「USP」
(3)「ROAS」
新卒の社会人にとってひとつの壁になるのは、ビジネスの現場で当たり前のように飛び交う略語化されたマーケティング用語だ。
下手に先輩や上司に「さっきの会議で言っていた○○ってどういう意味ですか?」などと聞くと、「勉強不足」などのレッテルを貼られてしまうかもしれない。また、似たような略語と取り違えて、戸惑う場面もあるだろう。
いち早く仕事に慣れるためにも、ビジネスの現場で使われている共通語としての略語は覚えておきたいもの。
そこで役に立つのが、『webマーケッターのための最新アルファベット略語辞典』(『webマーケティング支援会議、株式会社サプリ著、秀和システム刊)だ。
本書は、A~Zまでのアルファベットで表されるマーケティングの略語の意味と使い方が網羅されている。
Web関連の業界人にヒアリングし、「最低限これだけはしっておいたほうがいい」という略語が載っており、その略語ひとつひとつに対して、同じような場面で使われる略語との相関関係なども説明されている親切設計だ。
冒頭の略語も本書から抜粋したものだが、それぞれ次のような意味である。
(1)「B to C」(Business to Customer)
企業と個人間の商取引や、企業が個人向けに行う事業のこと。「B2C」と表記されることもある。
(2)「USP」(Unique Selling Proposition)
自社製品の独自性や独自のセールスポイント。また、その強みを生かした売り込みのための販売提案。
(3)「ROAS」(Return On Advertising Spend)
広告費用対効果。広告にかかった費用1円に対して得られた売上金額を表し、広告の費用対効果を示す指標として用いる。「ロアス」と読むこともある。
■webマーケティング以外でも耳にする略語
本書ではwebマーケティングで使用頻度の高い略語が掲載されているが、マーケティングに限らず、幅広く使われるものも多い。たとえば、次のような略語だ。
●「BA」(Budget Authority)
予算権限、予算限度額を指す。マーケティングや広告に限らず、予算が関係する場面で使われる。
●「CSR」(Corporate Social Responsibility)
企業が担う社会的責任のこと。企業が利益を追求するだけでなく、その活動が社会に与える影響に責任を持つことを指す。
●「ROI」(Return On Investment)
投資収益率。投下した資本に対する利益の割合のこと。製造業の「ROI」は、各企業の業績判断だけでなく、景気判断の目安にもなっている。
こうした略語は、企業幹部との会話や経済系のニュースで見聞きすることもある。しっかりと覚えておきたい略語だ。
■略語は「関連づけ」で覚える!
よく耳にする略語は、自然と覚えるもの。
しかし、急に耳馴染みのない略語が会話の中に出てくるとうろたえてしまうだろう。略語をしっかりと頭に叩き込むには、似たような略語を相互に関連づけて覚えておくといい。
たとえば、マーケティング業界でよく使われる「CPA(Cost Per Acquisition)」。
これは「顧客獲得単価」、つまり広告を経由して訪れた人が定められたアクションをとったときに、その人数当たりの費用を指す略語だ。
そして、「CPA」には、「CPC」「CPM」「CTR」といった関連した略語がある。
●「CPC」(Cost Per Click)
サイトに訪問者が訪れた場合の1クリックあたりの費用。
●「CPM」(Cost Per Mille)
広告を1000回表示させた際にかかるコスト。
●「CTR」(Click Through Rate)
広告がクリックされる確率。クリック率。
「CTR」は、「CPC」「CPM」と密接な関係にあるため、同時に覚えておくほうがいいだろう。また、関連づけしておくと、略語の意味も理解しやすくなり、忘れにくくなるはずだ。
仕事を円滑に運ぶためには、共通語としての略語を使いこなすのはビジネスパーソンの基本だが、忘れてはいけないことがある。
略語をサラリと使えるとスタイリッシュな印象があるが、何よりも大切なのは仕事の中身。これ見よがしに略語を連発するだけの、中身の薄いビジネスパーソンにならないよう、ゆめゆめ気をつけてほしい。
(ライター:大村 佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。