神奈川県横浜市瀬谷区に、年間300人以上を看取る在宅療養支援診療所がある。
院長は、小澤竹俊。これまでに3,000人以上を看取ってきた「看取り」のスペシャリストだ。
団塊世代が75歳を超える2025年、病院で最後を迎えることが難しくなるという。急激な死亡者数の増加に、病院側は対処ができないことが予想されるのだ。
しかし、末期がんなどで治療法がないと診断され、最期の時を迎えようとする患者本人、家族の不安はどれほどだろうか。今、切に自宅で穏やかな最期を迎えるための在宅医療が本当に求められている。
小澤竹俊医師の看取りで特徴的なのは、圧倒的な「聴く力」だという。
私たちがもし最期を迎えるとしたら、何をしたいだろうか。抱えている不安を聞いてほしいかもしれない。今まで人生で成し遂げてきたこと、嬉しかったことを言葉にして残したいかもしれない。小澤医師は、体系化され洗練された聴く技術を駆使して、患者の心に迫っていく。
ただ、どれだけ小澤医師が看取りのスペシャリストでも、日本全国の患者には、当然対応できない。小澤医師は、2025年に向けた「エンドオブライフ・ケア協会」を立ち上げ、人材育成を始めているが、患者側がどれだけ望んでも小澤医師の「めぐみ在宅クリニック」から5キロ圏内に住んでいなければ診療は受けられない。
私たちは、最期の時を迎える前に何ができるだろうか。ひとつの答えは、小澤医師が書いた『2800人を看取った医師が教える人生の意味が見つかるノート』(アスコム刊)にあるかもしれない。
本書は、小澤医師が実際に行っている「看取りの技法」をまとめたもので、直接小澤医師のカウンセリングを受けているかのように、これまでの人生を振り返ることができる。
来る2025年。
私たち、一人ひとりが望む最期を迎えるために、何ができるのか。
それは、今からどう日々を過ごし、何を大切にするのかを小澤医師と共に考えていくことかもしれない。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。