北朝鮮が近く6回目の核実験を実施するとの観測が高まるなか、トランプ米大統領は対北軍事作戦の発動を辞さないとの構えを強めており、朝鮮半島有事が現実化しつつある。第2次朝鮮戦争が勃発すれば、韓国の釜山から日本の対馬までわずか115kmしか離れておらず、そこから九州は目と鼻の先だけに、日本も戦火に巻き込まれ、甚大な被害が出ることが予想される。
日本政府がまず実施しなければならないのは、韓国に滞在する約6万人の邦人救出・避難作戦。さらに、朝鮮半島での戦火に逃げまどう韓国・北朝鮮人計30万人(初期段階)の難民の保護だ。
戦闘が拡大すれば、北朝鮮から在日米軍基地に向けて打ち込まれるスカッドやノドンミサイルの迎撃態勢の整備が急務であり、その一部が都市部に到達し、一般国民も犠牲になることも否定できない。さらに、陸海空軍に所属する13万人の北朝鮮軍特殊部隊のうち、日本への攻撃に割かれる1個旅団、約1万の特殊部隊による日本本土でのテロや奇襲攻撃にどう対処するのか。
もはや朝鮮半島有事は対岸の火事ではなく、日本も戦場と化す「北東アジア戦争」となる可能性が高い。
在韓邦人の避難
ロイター通信によると、日本の国家安全保障会議(NSC)は4月13日、朝鮮半島有事に際して、約6万人の在韓邦人の救出・避難に関する方法を協議した。避難には民間の船舶や航空機、また政府専用機が使われるが、韓国政府が合意すれば、自衛隊の輸送機や輸送船も使用することになる。
しかし、反日機運が強い韓国では、「いかなる理由があろうとも、自衛隊の韓国入国はダメだ」との世論が盛り上がることも考えられ、自衛隊機などの導入は微妙だ。それはともかく、日本政府が邦人避難のために考えている邦人乗り込み地点はソウルと仁川、さらに韓国第2の都市、釜山の3カ所だ。
避難は原則的に戦闘が発生してからでは手遅れになる。なぜならば、戦闘が始まってしまえば、ソウルなどの空港や港、または米軍基地は軍用機や軍艦などがひっきりなしに出入りするだけに、他国の民間機や船の出入りは厳しく制限されることが予想されるからだ。
避難を実行するとすれば、戦闘発生前であり、その場合、1万人の在韓邦人を避難させるのに船舶や航空機などの準備に1週間は必要であり、救出作戦には4日間かかると想定されている。その6倍の6万人を避難させなければならないので、動員できる航空機や船舶の数次第だが、単純計算で24日間かかる。これも、すべての作業が順調にいけばという仮定の話だ。戦場になっている他国での作業だけに、アクシデントやトラブルの発生は覚悟しなければならないだろう。極めて困難な作業になることが予想される。