富山市で創業し、富山市に本社を置く東京証券取引所第1部上場の総合機械メーカー、不二越の本間博夫会長が「富山生まれの人は閉鎖的な考え方が強いから採らない」と発言して物議を醸している。
県内企業や行政、学校は「侮辱だ」と猛反発。富山労働局からは「公正な採用選考が損なわれるおそれがあり不適切な発言」と指摘された。地元の北日本新聞が7月13日に報じた。
発言があったのは7月5日、富山市の富山商工会議所ビルで開いた、不二越の2017年5月中間決算会見。本間氏は、富山と東京の2本社体制から、8月に本社を東京に一本化すると発表した。この過程で、問題発言が飛び出した。
「不二越は2020年に(売上高)4千億円を目指しており、うち約4割をロボットで担おうとしている。大きな飛躍を担う中で必要なのはソフトウェアの人間だ。特に不二越は機械メーカーのイメージが強く、富山には(ソフトウェアの人間は)まず来ない。富山で生まれて幼稚園、小学校、中学校、高校、不二越。これは駄目です、駄目です。変わらない。ことしも75名ぐらい採ったが、富山で生まれて地方の大学に行ったとしても、私は極力採らないです。
(中略)なぜか。閉鎖された考え方が非常に強いです。偏見かも分らないけど強いです。いや優秀の人は多いですよ、富山の人には。だけど私の40年くらいの会社に入っての印象は、閉鎖的な考えが強い。ですから全国から集めます。ただしワーカー(ブルーカラーの意味だろう)は富山から採ります」(北日本新聞記事より)
不二越は1928年に富山市で誕生した。本社を富山市に置き、社員の8割は富山出身者だ。その企業のトップが、富山県人は閉鎖的な考えが強いので注力する事業部門では採らない、ワーカーとしてなら採ると言い放ったのだ。
地元の企業経営者や行政は「富山県民を侮辱している」と怒り心頭である。富山県民全体を敵に回した発言は、百害あって一利なしだ。
東京生まれ、東京育ちの本間氏は、最後まで富山の風土に溶け込むことができなかったようだ。本社を東京に移すにあたり、自分を受け入れなかった富山県民への積もり積もった感情を爆発させたということなのかもしれない。