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日本郵政、民営化失敗の可能性…深刻な業績不振、国の株売却計画が頓挫

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日本郵政本社ビル(「Wikipedia」より)

 日本郵政の長門正貢社長は7月25日の定例記者会見で、財務省が日本郵政株の追加売却を見送ったのは株価低迷が理由とする報道に触れ、「株価を理由に(追加売却を)見送りという議論は本当か、いずれゆっくり検証したい」と述べた。この1年間の日本郵政の株価について、「金融全体の中で、目立って悪いわけではない」と強調した。

 2015年11月の日本郵政グループ3社の上場は、久々の超大型IPO(株式新規公開)ということで大いに盛り上がった。しかし、その後の株価は、期待したような展開を見せなかった。

 上場初日の11月4日に1631円の値がついた後、同年12月7日に1999円と、大台に迫る勢いだった。だが、年明けから急落。日本銀行が導入したマイナス金利政策の影響もあり、16年6月24日には1170円と、1200円を割る場面もあった。

 政府は日本郵政株の約8割を保有している。郵政民営化法によって、段階的に売却して3割強まで持ち株比率を下げると定められている。15年11月のIPO時に、政府は保有株の2割を売り出し、1兆4000億円の資金を得た。追加売却で22年度までに4兆円を確保し、東日本大震災の復興財源に当てる計画だ。

 財務省は今年3月、第2次売却に向けて主幹事証券会社を選定し、7月にも追加売却に踏み切るとの観測が出ていた。だが、上場直後に2000円に迫った日本郵政の株価は、7月31日の終値で1391円と低迷。上場時の売り出し価格である1400円をも下回った。第2次売却の価格は、市場価格から数%程度低く設定する決まりなので、このままだと初回の売り出し価格を下回る可能性が高い。より高い価格で売りたい財務省は、7月の追加売却を見送った。

株価低迷で追加売却を先送り

 株価低迷の原因は、日本郵政の業績不振にある。日本郵政傘下の日本郵便が15年にオーストラリアの物流会社、トール・ホールディングスを買収したが4003億円の損失を計上した。その影響で日本郵政は17年3月期に289億円の最終赤字となり、民営化後、初の赤字に転落した。

 業績回復を狙って大手不動産会社、野村不動産ホールディングスの買収を仕掛けたが、価格面で折り合えず買収計画は白紙に戻った。

 日本郵政は、電子メールの普及などで郵便事業が大苦戦している。国債の運用で稼いできた子会社のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険も、超低金利の長期化で業績の先行きは不透明だ。成長の柱にするはずだったM&A(合併・買収)戦略が頓挫してしまい、株価を浮揚させるような明るい材料は見当たらない。

 市場関係者は、日本郵政の成長を疑問視している。そのため株価は一向に浮上しないのだ。7月の追加売却を見送ったため、次は9月から10月末にかけての売却を模索しているといわれている。

 先に延ばせば延ばすほど、追加売却のタイミングが難しくなる。秋に売り出しができなければ、越年する可能性があるとの声も大きくなっている。
(文=編集部)

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