タカタが民事再生法を申請へ――。
欠陥エアバッグの大規模リコール問題に揺れているタカタだが、いよいよ倒産が眼前に迫ってきた。タカタのほかに、経営に危機が及んでいる企業はどこか。
東京商工リサーチは、6月6日、『2017年3月期決算 上場企業「継続企業の前提に関する注記」調査』【※1】を発表した。
それによると、17年3月期決算を発表した上場企業2432社のうち、監査法人から「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)」(以下、GC注記)を付記されたのは22社だった。前年度本決算(16年3月期、25社)より3社減少したが、16年9月中間決算(20社)からは2社増えた。
「GC注記」とは事業継続のリスクを示すもので、業績や財務の悪化で事業の先行きに不透明性が高まったと判断された際に付記され、投資家に注意を促す意味合いを持つ。
また、GC注記には至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載される「継続企業に関する重要事象」(以下、重要事象)が付記されたのは41社。前年度本決算(43社)より2社減少したが、9月の中間決算(39社)からは2社増加した。
中間決算から本決算の間にGC注記が付いたのは6社。タカタは中間決算では重要事象にとどまっていたが、第3四半期決算以降はGC注記が付いた。
また、経営再建中の東芝は、監査意見不表明の状態で発表した16年12月第3四半期決算で初めてGC注記が付いた。同社の3月期本決算の発表見通しは不透明で今回の調査では対象外とのことだが、3月期決算でも引き続きGC注記が付く見通しだ。
約半数が製造業、理由は「本業不振」が7割以上
GC注記・重要事象は理由別で分類されている。それによると、48社(構成比76.1%)が重要・継続的な売上減や損失計上、営業キャッシュ・フローのマイナスなどの「本業不振」が理由となっている。以下、「再建計画遂行中・その他」が9社(同14.2%)、「財務制限条項に抵触」が8社(同12.6%)と続く。
業種別では、製造業が30社(構成比47.6%)で約半数を占め、情報・通信業の10社(同15.9%)、小売業の8社(同12.7%)が続く。
GC注記と重要事象の合計数は63社。この数は、リーマン・ショック直後の09年3月期(145社)をピークに減少の一途をたどり、14年3月期に最小(59社)を記録。15年3月期に6年ぶりに増加したが、その後は一進一退の状況だ。
この背景について、東京商工リサーチ情報本部は「GC注記・重要事象が記載される上場企業の減少は、業績が上向いた結果とみることができる。ただ、数年にわたって継続してGC注記や重要事象が記載される不振企業も多く、業績が改善しないまま上場廃止になる企業もある。好決算が相次ぐ大手企業に対し、新興や中堅以下の企業との格差は拡大し、二極化が進行している」と分析している。