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東芝、以前から子会社の巨額損失を把握か…監査法人が決算承認できない「知られざる理由」

文=深笛義也/ライター
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東芝、以前から子会社の巨額損失を把握か…監査法人が決算承認できない「知られざる理由」の画像1謝罪する東芝・綱川智社長(ロイター/アフロ)

 東芝の起源は、江戸時代にまで遡れる。日本経済の発展とともに、その先頭を走ってきた。その東芝が8月1日、東証1部から2部に降格し、今後は上場廃止、あるいは消滅の可能性までも取り沙汰されている。

 果たして東芝は崩壊に向かっているのか、そしてもし実際に経営破綻すればどうなるのか。7月に出版された『東芝崩壊 19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』(宝島社)の著者で経済ジャーナリストの松崎隆司氏に話を聞いた。

「今はまだ、地獄の一丁目の入り口に入ろうとしている段階。仮に東芝の法的整理が行われて、完全に崩壊するようなことになると、日本経済に与えるダメージは大きい。2014年ベースで見ると、取引先は海外も含め約1万社でしたが、その後リストラもあって取引先も減ってるとは思うのですが、それでも数千社はあるはず。日本の会社というのはピラミッド型になっていますから、その頂点が崩壊すれば、ピラミッドがひっくり返って連鎖倒産を引き起こす可能性があります。東芝だけで1万4000人くらいリストラされているわけですから、その数十倍、数百倍の人が路頭に迷うことになるかもしれません」(松崎氏、以下同)

 同書の特徴は、筆者の主観を廃し、具体的な事実を積み重ねて東芝の姿を浮き彫りにしていることだ。

「スクープ自慢みたいなことは避けて、表に出ている資料や記者会見を掘り下げていって、そこに何が見えるのかを追求しました。ニュースリリースを10年分くらい読んでいくと、そこから今まで見えてこなかった事実が、現れてくるのです」

WH買収の背景

 東芝の経営危機は、米原子炉メーカー、ウエスチングハウス(WH)が16年1月に買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)の巨額の損失が直接の原因だといわれている。東芝は買収後に精査した結果、S&Wが受注したサザン電力、スキャナ電力の原発建設で同年12月に巨額損失が発覚したことを強調し、同年度決算での損失計上にこだわってきた。しかし、資料を読み込むことによってまったく違った真相が見えてくるという。

「東芝がWHを買収した06年からさかのぼってリリースを読んでいけば、S&WとWHは東芝がWHを買収する以前からの盟友で、巨額損失を発生させていたとされるサザン電力、スキャナ電力の原発建設は08年にWHとS&Wが共同で受注した工事だったということわかる。これが東日本大震災などの影響で建設コストが急騰し工事がストップしてしまった。行き詰まった工事を先に進めるために、やむを得ずWHがS&Wを買収したわけで、東芝やWHは以前からS&Wがこの工事で巨額の損失を抱えていることを知っていたことが推察できる。東芝が自らつくった資料を使って、問題発覚以降の記者会見などで説明している内容の矛盾を突くことができるわけです。損失の計上も16年度以前に行われていなければならないのではないか、という疑問につきあたるわけです。そこから監査法人のPwCあらたが今、S&Wの損失の計上時期をめぐって東芝と対立し、16年度決算では監査意見を『不表明』としている理由もおのずと見えてきます」

『東芝崩壊 19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』 長らく日本を代表する企業であった東芝。しかし、ここに来て数多くの失態が明らかになっています。 前代未聞の決算発表“ドタキャン"をはじめ、依然として粉飾体質が続く、企業としてもはや末期的な状況です。 本書では、グループ従業員数19万人を超えていた巨艦企業の東芝が、2015年に不正会計が発覚してから 債務超過に転落したその真相に迫ります。歴代社長の暴走の果てに解体に至る道のり、そして、“虎の子" である半導体事業を扱う東芝メモリの売却にも手をつけるなど、「解体」待ったなしの東芝は今後どうなっていくのか。 戦前から続く東芝の企業体質、権力構造、それらによってもたらされたウェスチングハウス買収の裏側などを 解明しながら、19万人の巨艦企業を沈めた真犯人に迫ります。 amazon_associate_logo.jpg

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