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『おんな城主 直虎』に隠されたNHKの壮大な計画?『真田丸』と絡めた「神采配」

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『おんな城主 直虎』公式サイトより

 柴咲コウが主演するNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の第47回が26日に放送され、平均視聴率は前回より0.7ポイント減の11.3%だったことがわかった(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 正室と嫡男を同時に失った家康(阿部サダヲ)は、無念を晴らすために駿河一国を手に入れると家臣たちに宣言。まずは遠江における武田の拠点、高天神城攻めに乗り出した。この戦で城の水の手を切る功を挙げた万千代(菅田将暉)は二万石に加増され、もともと井伊家の家臣であった直之(矢本悠馬)と六左衛門(田中美央)を召し抱えたいと直虎(柴咲)に申し出た。

 一方、これからは敵を味方とする力を付けたいと心に決めた家康は、高天神城の兵糧を絶って降伏を勧める戦術を取る。ほどなくして城から降伏を願い出る矢文が届くが、信長(市川海老蔵)が遣わした使者はこれを一蹴し、「力攻めで落とせ」と家康に命じる。これを足掛かりに信長は武田領への侵攻を進め、ついに武田家は滅亡。家康はその功績が認められ、信長から駿河を拝領した――という展開だった。

 メインとなるストーリーは家康の苦労話であり、直虎も万千代も添え物程度にしか登場しなかったが、これはこれで非常におもしろい。家康は後に武田の遺臣を多く召し抱えることになるが、この事実を「織田に屈せずともよい力を持つため、敵を味方とする」という発想から生まれたものとして描いた。信長に逆らうことができないばかりに妻と息子を失った悲しみがしっかりと描かれていただけに、家康の言葉に説得力が生まれる。万千代によれば家康はあまり戦が好きではなく、「戦ほど割の悪い片の付け方はない」と考えているという。

 大河ドラマは前作『真田丸』で、自身に敵対する勢力をなんとしてもつぶそうと画策する憎たらしい存在として家康を描いたが、『直虎』を見ているとそれは半面だけの真実だったのかもしれないと思えてくる。本当は、戦をやめようとしない好戦的な勢力を一掃しようとしていたのではないだろうかと。『真田丸』では敵対する視点から、『直虎』では徳川家内部の視点から、2年続けて大河ドラマに登場した家康の人物像が一貫しており、むしろ互いに補完し合うような視点になっているのは見事だ。『真田丸』の初回で描かれた武田勝頼の自刃がこの第47回でも描かれたことで、この2作品は時間軸も重なった。

 いまあらためて『真田丸』を見返したら、あんなに憎たらしかった家康を応援したい気持ちになり、家康に何度も煮え湯を飲ませる真田昌幸(草刈正雄)こそ悪役に見えてしまうのではないだろうか。昌幸はもともとかなり悪役っぽく描かれてはいたので、なおさらだ。いずれにしても、『真田丸』と『直虎』が続けて放送されたことは、歴史を複数の視点から見ることの楽しさをあらためて教えてくれたという点で、大河史上に残る“神采配”だったと評価したい。

 今回はこのほか、武田領で育った高瀬(朝倉あき)がかつて話していた「河三郎」の話が、材木を切り出す人足の中にまぎれ込んでいた武田の間者の正体を見破るきっかけになったという途方もない伏線回収にも視線が注がれた。高瀬本人ははっきり言ってそれほど存在意義がなく、最近ではほとんど登場もしないが、視聴者もほとんど記憶にないほどの小さな伏線をこの終盤になって生かしてきた脚本は素直にすごい。

 それだけに、方久(ムロツヨシ)が商人に戻り、刺しゅうが上手なあやめ(光浦靖子)と結婚したという設定や、堺にいったきりの龍雲丸(柳楽優弥)の存在、万千代の部下として登場したものの、その後は存在を忘れられているような本多正信(六角精児)など、いかにも意味がありそうだったのに特に回収されていない設定や人物も目に付く。

 龍雲丸については「架空の人物の話を広げすぎる」との批判も少なくなかったが、最終盤に再登場するとの情報もある。最後の最後は「なるほど、龍雲丸は必要なキャラだった」とうなずけるかたちで締めくくってほしいが、果たしてどんな展開が待っているのだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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