大阪府立懐風館高校で起こった「髪染め問題」、日本の歴史修正主義の動き、安倍政権のおかしさ――。
こういった日本の問題は、海外メディアでも伝えられることが多い。とくに、国際的な影響力の大きい、アメリカのニューヨーク・タイムズや、イギリスのガーディアン、フィナンシャル・タイムズ、フランスのル・モンドなどで報じられることも、よくある。
日本は、海外特派員の取材活動を規制するような国ではなく、日本のおかしなところが世界に報じられるのも当然のことである。しかし、そこで報じられる日本の問題点には、日本人の筆者でさえも、当然問題だと思えるようなことは多い。
日本に特派員を置く海外メディアは、誰が読んでいるのか?
日本人が海外メディアを読むにあたって、何よりも読まなくてはならないのは、日本に関する記事である。もちろん、日本人の場合は前提となっていることを知っているから読みやすい、というのももちろんある。しかし、日本が世界からどう見られているかを知る上で、たいへん重要な情報源だから、読む意味がある。
たまたま筆者の手元にあった、12月8日付ニューヨーク・タイムズ国際版(ジャパンタイムズにはさまれている)を見てみよう。一面で常盤平団地の孤独な老人たちについての記事が掲載され、その記事は中の2ページを割いて大きく取り上げられている。日本は孤独死が社会問題になっていると、その記事は伝えているようだ。
日本にやってきた世界各地の特派員は、このようにして日本の問題点を世界に示している。日本の問題点については、日本人の記者よりも厳しい。
海外、とくに欧米の新聞は、読者層が社会階層によってはっきりと分かれている。日本でも朝日新聞が大卒ホワイトカラーの読者が多く、日本経済新聞が高所得の読者が多いという傾向があるが、海外ではそれがとくに露骨なのである。
イギリスでは、一般の労働者階級はガーディアンなんて読まない。読むのは、ザ・サン、デイリー・ミラーなどの大衆紙を読む。ザ・サンがイギリスでもっとも部数の多い新聞であり、女性のヌード写真が毎号掲載されることで人気を博している。
左派系のガーディアン、保守系のタイムズ、経済紙のフィナンシャル・タイムズなどを読むのは、高学歴者や経済的に裕福な人たちである。もちろん、こういった人たちによるイギリスでの社会的影響は大きい。