テレビ出荷台数、業界予想の半分に…4Kは当初予想の3割、全視聴履歴取得で革命
2017年は「テレビ×ネット」をキーワードに、いくつかの局面でターニングポイントを迎えた1年だ。テレビCMの世界の変化のほかにも、テレビ自体のインターネット接続率が上がり、パソコンやスマートフォン(スマホ)と同様にログが採れるようになり、テレビ関連のマーケティングに変化が起き始めている。そこで今回は、「テレビ×ネット」の進展によってテレビにどんな変化が起きる可能性があるのかを考える。
4K・8Kは?
2017年12月、4K・8K実用放送の開始1年前を記念するセレモニーが行われた。席上、A-PABの福田俊男理事長は「メーカーには安価で性能の良い受信機を早期に市場に投入してほしい」と要望した。また、野田聖子総務相は「放送事業者には魅力的なコンテンツの提供をお願いしたい」とした。
4K・8K普及を牽引するのは番組が先か、受信機が先か。00年のBSデジタル放送開始の時もそうだったが、新しい放送サービスが始まる時には「鶏が先か卵が先か」の議論が繰り返される。しかし、今回ほど明るい展望をしにくい状況はないといわざるを得ない。
4K対応テレビは1~11月の出荷傾向から判断すると、17年は150万台に届きそうにない。16年初めにJEITAの17年の予想は250万台だった。予想の6割にとどまる計算になる。そもそも4K対応テレビの普及は、14年秋に発表された「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合 中間報告」で、17年に457万台出荷されるとなっていた。
ところがこの予測は、14年の87万台予測が26万台と大きく下回ったため、翌15年夏に公表された第二次中間報告で、大幅に下方修正されていた。17年は357万台となったが、この第二次予測も当の15年実績が予測の4分の3にとどまったために、16年に再び下方修正された。それでも実績値は予想の6割と低迷しそうなのである。
なぜ予想は間違えるのか?
こうした予測と実績の乖離は、そもそも高画質化に視聴者のニーズがあまりないという事実を示唆している。さらに踏み込んでいえば、総務省・放送局・メーカーの根本的な過ちは、テレビそのものの需要の読み誤りである。14年の予測の際、テレビ全体の出荷台数を17年時点で796万台としていたが、1~11月の動向から判断すると400万台に届きそうにない。つまり、テレビ全体の実績が予想の半分なのだ。