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旅行会社、「無用の長物」化で存亡の危機…中小企業の突然死ラッシュ、業界全体で利益半減

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てるみくらぶの山田千賀子社長(写真:読売新聞/アフロ)
 2017年は旅行会社の苦境が目立った。


 3月に格安旅行会社のてるみくらぶが倒産し、同社社長の山田千賀子容疑者らが融資金詐取の疑いで逮捕、起訴される事態となっている。また、11月20日には「ARCツアー」のブランド名でツアー旅行などを手掛けるアバンティリゾートクラブ(以下、アバンティ)が東京地方裁判所から破産開始決定を受けた。

 今、旅行業界に何が起きているのか。旅行代理店のビジネスモデルは、もはや限界なのか。東京商工リサーチ情報本部情報部の増田和史課長に話を聞いた。

利益が半減…旅行業界を襲う危機的状況


――17年はてるみくらぶの倒産が社会問題化し、11月にはアバンティも破産しました。なぜ今、旅行会社の倒産が相次いでいるのでしょうか。

増田和史氏(以下、増田) 旅行業界が低迷している理由にはさまざまありますが、旅行スタイルの変化が大きいと思います。今は、飛行機や宿泊などの手配をすべて自前で行う「セルフブッキング」が一般的になっています。このスタイルでは旅行代理店を通さないので、各社とも利益確保が難しくなっているのです。

 特に航空券などは自前で購入する人が増えた上、LCC(格安航空会社)はネット販売のみです。セルフブッキングがさらに普及することで、旅行業界は厳しい局面が続くと思います。

――旅行業界の苦しい状況は、数字にも表れていますか。

増田 大手を含む旅行業1700社の16年度の売上高は約2兆6241億円で、前年度から約609億円減少しました。また、利益は約156億円で前年度から約131億円(45.6%)減少しています。国内旅行だけでなく、高収益が見込めるヨーロッパ方面などの海外旅行も落ち込んだことで、利益がおよそ半減しました。

 売上高100億円以上の34社の売上高合計は約1兆9518億円で、業界全体の74.3%を占めています。大手による寡占化が進む一方で、売上高5億円未満の中小・零細企業の事業者数は全体の8割以上を占めています。

――売り上げ、利益ともに短期間で大幅に減少しているという事実は、危機的な状況を表していますね。

増田 やはり、「セルフブッキングのスタイルが短期間で普及したため」と分析しています。旅行代理店を必要としないスタイルが、業界全体の業績悪化につながっています。もうひとつは、団体客の減少です。また、それらを補完するビジネスモデルは今のところありません。

危ない旅行会社を見極める方法


――てるみくらぶ、アバンティの倒産劇について、あらためて分析をお願いします。

増田 てるみくらぶの商法は、航空会社や大手旅行代理店が販売しきれなかった航空券を安く仕入れてパッケージツアーに組み込み、格安でネット販売するというものでした。しかし、航空会社が小型機の導入を進めたことで余剰チケットが品薄になると、この商法は通用しなくなりました。そこで、旅行客から前受けでお金をもらい、それを手元資金として使う前受け金ビジネスに手を染めたのです。

 てるみくらぶと比べて小規模のアバンティの場合は、売り上げの低迷と、それによる資金繰りの悪化が背景にありました。

――倒産の予兆などはあったのでしょうか。

増田 東京商工リサーチでは、客観的に信用力を示す指標のひとつとして「リスクスコア」をユーザーに提供しています。1~100までの100段階で信用力を表し、1がもっとも高リスクです。

 てるみくらぶは、16年9月の時点からリスクスコア1になっていました。アバンティも低迷が続いており、ユーザーからの問い合わせが頻繁にありました。それを受けて調査したところ倒産が明らかになったのですが、同様のケースは多いです。

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