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『anone』視聴率爆死だが第5話で突然にメチャクチャ面白く!引き込まれて仕方ない

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 広瀬すず主演の連続テレビドラマ『anone』(日本テレビ系)の第5話が7日に放送され、平均視聴率は前回から0.5ポイント減の5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 林田亜乃音(田中裕子)からだまし取った1000万円を盗まれてしまった青羽るい子(小林聡美)は、持本舵(阿部サダヲ)と共に謝罪に訪れる。亜乃音はるい子をとがめることもなく、行き場のない2人を「猫が増えたようなもの」と自宅に受け入れた。

 亜乃音の家で暮らすうちに、舵は眠ったままになっている印刷機を使って印刷業を営むことを思いつく。それを知った亜乃音は、死んだ夫と共に働いていた元印刷工の中世古理市(瑛太)を家に招く。約束通り現れた理市は、唐突に偽札づくりへの協力を4人に求めた――という展開だった。

 これまでは断片的にしか登場せず、謎多き存在だった理市がついにその目的を明らかにした。こっそり一人で偽札作りを続けていくと思われた理市が計画を自らバラしたのも、4人が偽札づくりに巻き込まれたのも予想外。どこに向かっているのかさっぱりわからなかったこのドラマに、ようやく明確な筋が1本生まれた。

 4人が突然、犯罪計画に巻き込まれる衝撃のラストの前段として、奇妙ながらも平穏な共同生活が描かれたのも良かった。舵とるい子も重荷から解放されたように快活に振る舞い、買ってきたパジャマの柄がおかしいと言っては笑い合い、るい子のくしゃみがかわいいと言っては笑い合う。

 これまではストーリー展開が重かったために、コミカルな演技を得意とする阿部や小林がすべっているように見える場面も少なくなかったが、4人が明るく笑顔で暮らせるようになったことで、笑いを誘う場面がようやくピタリとはまってきた。

 亜乃音が辻沢ハリカ(広瀬)の心を解きほぐしていく様子も丁寧に描かれた。「今日そっち行けないかも」と電話で話すハリカを、「ここはもう行くところじゃないからね。ここはもうハリカちゃんが帰るところだからね」と優しい口調ながらも毅然と諭した場面では、田中の落ち着いた演技にぐっと引き込まれた。

 病気の友人のために何もできないと自分を責めるハリカを後ろから抱きしめ、「何もできなくていいの。その人を思うだけでいいの」と力付けた場面も秀逸。「名言」が多いことで知られる脚本家・坂元裕二の本領発揮というところだろうか。

 広瀬も抜群の演技力を見せつけた。

 なかでも、チャットアプリで紙野彦星(清水尋也)と会話しながら涙を流すシーンには圧倒された。一筋の涙がほほを伝ったかと思ったら、さらに一筋流れていき、そのうちに両目から流れ出た涙があごに溜まるという一連のシーンには驚かされた。目の前の相手との芝居ではないのにあんなに泣ける演技力もすごいし、何より映像的に美しい。さすが、同年代の俳優のなかで群を抜いているといわれるだけのことはある。

 亜乃音と一緒に家に帰り、これまでのボソボソしゃべる陰気なキャラとは打って変わって、勢いよくしゃべり始める場面も印象的だった。これまでの抑えた演技の広瀬も良かったが、明るく元気の良い広瀬自身のキャラを生かした演技も見ていて気持ちが良い。

 幼少期は空気を読まずに思い付いたことをなんでもしゃべるキャラだったはずなのに、大人になったハリカにはその設定が反映されていないのではないか――という疑問もあったが、今回ようやく回収されたことになる。ハリカの心を押さえつけていたものが亜乃音とのふれあいの中で取り除かれ、本来の自分を取り戻したということなのだろう。

 こうして何もかもうまくいき、幸せな日々が訪れると思われたところで犯罪に巻き込まれることになった4人。どこに話が転がっていくのかまだまだ読めないが、興味を引く展開になってきたことは間違いない。残念なのは、おもしろくなってきたのが遅すぎることだ。今から視聴率を挽回するのは至難の業であるどころか、もはや打ち切りを心配しなければならない段階に入っている。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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