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『anone』視聴率4%台突入で批評する意味消失…懸念される超単純な結末

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 広瀬すず主演の連続テレビドラマ『anone』(日本テレビ系)の第7話が2月28日に放送され、平均視聴率は前回から0.6ポイント減の4.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 話題作『カルテット』(TBS系)を世に送り出した坂元裕二氏の脚本とあって放送前はドラマファンの注目を浴びたが、もはや打ち切りも視野に入る水準まで落ち込んでしまった。オリンピックの影響で2週間ぶりの放送となったことも影響しているとみられる。前回の第6話の内容が薄く、次回への興味を引くものではなかったうえに間隔があいてしまったことで、続きを見ようとの意欲が薄れてしまった人も少なくなかったのだろう。

 ここまで視聴率が低水準に落ち込んでしまうと、ストーリーを紹介して批評を加えるという行為の意味も薄らいでしまう。見ている人が圧倒的に少ないのにあらすじを細々と説明しても仕方ないだろう。とはいえ一応このドラマについては最後までレビューを書く予定なので、お付き合いいただきたい。

 第7話のストーリーを一言で説明すると、「偽札作りが少し進んだ」でまとめることができる。林田亜乃音(田中裕子)を筆頭に、辻沢ハリカ(広瀬)、持本舵(阿部サダヲ)、青羽るい子(小林聡美)の4人が中世古理市(瑛太)の指導のもとで偽札づくりに励む。ハードルの低い1000円札から始めるも、なかなか機械に認識される偽札をつくるまでに至らない。自動販売機を使った何度目かのテストでそのうちの1枚がようやく本物として認識され、4人はジュースで祝杯を挙げた――という内容だった。

 あらすじとしてはこうなるが、おそらく偽札づくりそのものはこのドラマの本筋ではなく、それほど重要な意味を持っていないような気がする。では、なぜ初回から延々と偽札の話を引っ張るのかということになるが、それは「坂元さんに聞いてください」としか言いようがない。

 それではあまりに投げやりなので自分なりの解釈を書くが、坂元氏は「偽物を突き詰めたら本物にも勝る」ということを書きたいのではないだろうか。このドラマには『偽物から始まる真実の愛』というキャッチコピーが付いていた。これが、亜乃音やハリカたちの疑似家族を指していることはおそらく間違いない。

 だが、縁もゆかりもない人たちが引き寄せられるように集まり、家族のように暮らすというだけでは話として非常に弱い。マイナスかけるマイナスがプラスになるように、偽物の家族にさらに究極の偽物を掛け合わせることで、本物よりも優れたなんらかの「真実」が生まれることを描こうとしたように思える。偽札はそのためのアイテムなのだろう。

 そこで問題になるのが、偽物家族は犯罪ではないが、偽札づくりは犯罪という事実だ。亜乃音たちは指紋の付いた偽札を自動販売機に残してしまい、亜乃音に好意を持つ弁護士・花房万平(火野正平)も彼女の不審な行動に気付いてしまった。理市の妻・結季(鈴木杏)は偶然、街で夫を見かけ、彼が偽札づくりの研究を続けていた秘密基地を見つけてしまう。いつどこから偽札づくりがバレてもおかしくない状況だ。

 『偽物から始まる真実の愛』がテーマだとすると、最終的に亜乃音がハリカたちをかばって罪をかぶるというオチになりそうだが、これだけどこに転がるかわからない話を書いておいて、そんな単純なラストもないだろう。正直言うと、もはや結末はどうでもよいが、ドラマとしてのテーマをどうまとめてくるかが気になる。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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