広瀬すず主演の連続テレビドラマ『anone』(日本テレビ系)の第6話が14日に放送され、視聴率は前回から0.4ポイント減の5.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。
前回は、中世古理市(瑛太)が林田亜乃音(田中裕子)や辻沢ハリカ(広瀬)らに偽札づくりへの協力を迫るという衝撃のラストを迎えたが、第6話は彼女たちがその誘いに乗るまでの過程を描いた。
ハリカは、幼なじみの紙野彦星(清水尋也)が長くてもあと1年しか生きられないという現実をあらためてかみしめ、彼を治すためのお金が欲しいとの思いを募らせる。
一方、亜乃音は偽札づくりに協力するようにと、理市から脅されていた。彼が見せた動画には、「ライターで火をつけた手紙をゴミ箱に捨てた」と話す孫の青島陽人(守永伊吹)の姿が映っていた。陽人と母親の玲(江口のりこ)は、かつて火事に見舞われたが、その原因は陽人だったというわけだ。玲も陽人本人もその事実を知らない。理市は、もし協力しなければ本当のことを2人に話すと亜乃音に迫った――という内容だった。
実際に4人が偽札づくりに協力する次回へのつなぎといった様相が濃く、かなり盛り上がりに欠けた回となった第6話。「お金さえあれば彦星を助けられる」との思いに取りつかれたハリカがお金に執着する様子は、これまでも描かれており、今さら繰り返すのは蛇足だろう。
陽人がかつてそれとは知らずに火事を起こし、それが原因で人が死んでいたという過去は確かに衝撃的ではあるが、無駄に話をこねくり回した感が否めない。
理市が玲に近付いたのは、亜乃音に偽札づくりを手伝わせるためだった、というのは大方の予想通りだが、インパクトのある展開にしようとするあまり、ドラマ全体が浮付いた雰囲気になり、地に足が着いていない。
婚約者である理市が実は既婚者であるという事実を玲が知っていたという展開も余計だった。「だまされていることに気付いて目を覚ますのでは」と視聴者に思わせておいて、その予想を裏切るだけの意味しかない。
視聴率とは裏腹にドラマとしてのおもしろさは徐々に増していただけに、中盤での足踏みが惜しまれる。正直言って、あまりの退屈さに今回は終盤眠気と闘いながら視聴するのが大変だった。これまではストーリーの行方にも多少は興味を持っていたが、今回でほとんどどうでも良くなってしまった。
唯一、自由な発想を持つゆえに周囲から浮いてしまう陽人をかつての自分に重ね合わせ、苦しくなってしまう広瀬の演技だけは良かった。本作では淡々とした演技が大半を占める広瀬だが、抑えた演技の中でも時折リアルで説得力のある芝居を見せてくれる。「少し変わった子ども」だったという設定は今のところあまり回収されていないが、もっと脚本と演出で広瀬の演技力を生かしてほしい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)