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『西郷どん』大河らしからぬコミカル路線でおもしろい!ネタに走りすぎ、狙いすぎの感も

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 鈴木亮平が主演を務めるNHK大河ドラマ『西郷どん』の第10回が11日に放送され、平均視聴率は前回より0.4ポイント減の14.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 島津斉彬(渡辺謙)から密偵役に任じられた西郷吉之助(鈴木)は、品川宿で会った「ヒー様」(松田翔太)が、一橋慶喜と同一人物であるかどうかを確かめに磯田屋に出向く。人払いをした「ヒー様」は、あっさりと自分が慶喜であることを認める。そして、「オレは将軍になどならぬ、と斉彬に伝えよ」と吉之助に告げた。

「こんないい男が世の中に2人もいるわけなかろう」とキザな台詞をしれっと言い放つ慶喜役の松田は、まさにハマリ役。遊び人風を装いつつも、頭の良さが隠し切れない感じもぴったりだ。この男なら、大政奉還を突然言い出して敵味方ともにあわてさせる未来も不思議ではない。今後どのように描かれるのか、もっと見たいと思わせてくれるキャラクターだ。

 自分が何に関わっているのかさっぱりわからぬまま、殿の“おつかい”として働く吉之助の姿もユーモラスだ。斉彬もあえて詳しく説明していなかった。考えてみれば、斉彬が吉之助のこれまでの言動を見て、賢く立ち回れる人物として評価しているはずはない。むしろ、ひたすら愚直な人物であるからこそ、さまざまな秘密に触れることになる密偵役に適任だと考えたのかもしれない。一見すると異例の抜てきを受けたように見えるが、「賢くないからこそ選ばれたのでは」と見方を変えると、また違ったおもしろさが見えてくる。

 一方、篤姫(北川景子)は、輿入れ先が将軍家定(又吉直樹)であることを知る。斉彬は教育係として京から幾島(南野陽子)を呼び寄せ、将軍家御台所にふさわしい立ち居振る舞いをみっちりと篤姫に教え込むことにした。

 幾島役にはもともと、不倫騒動で降板した斉藤由貴がキャスティングされていた。斉藤といえば、2016年の大河ドラマ『真田丸』で徳川家康の側室・阿茶局を演じていたのは記憶に新しい。仮にそのイメージが踏襲されていたなら、もっと威厳があり、冷徹さを秘めた幾島になっていたのではないかと思うが、南野演じる幾島は怖そうに見えて意外に優しい。

 篤姫に「もすもすばっかりや!」とツッコミを入れたり、そばに控えている吉之助が笑顔の練習をマネするのを見て「あんたさんはせんでよろしい」と言い放ったりと、脚本・演出も幾島で遊んでいる。あまりギスギスした場面を見せられても楽しくないので、こういうのもいいのではないだろうか。

「春画を題材に子づくりについて篤姫に伝授するから下がれ」と幾島に命じられ、吉之助が早回しで庭から退出する演出は少々ネタに走りすぎではないかという気もしたが、これを良しとするか否かは視聴者の判断であろう。

 大河ドラマであるかどうかを別にすれば、第10回がドラマとして単純におもしろかったことは間違いない。狙いすぎとの批判もあるだろうが、テンポもよく、笑いどころあり緊張感漂う場面ありで、あっという間に終わった感じだ。

 ただ、コント色の強かった『真田丸』が視聴率的に苦戦した例もあるため、江戸編でのコミカル路線が今後も支持される保証はない。とはいえ、以前の大河ドラマの影響で篤姫の知名度が高く、話についていきやすいことが今後もプラスに働く可能性は大いにありそうだ。

 今回はこのほか、『陸王』(TBS系)など数々のドラマに出演するジャニーズ事務所きっての演技派・風間俊介が、橋本左内役で登場したことも話題を集めた。風間本人の持ち味もあって、どうにも食えない志士といった感じが漂っているが、公式サイトにある鈴木亮平のコメントによれば、吉之助と「バディー」として活躍する展開があるようだ。ひたすら愚直に役目を果たすだけの吉之助が、いつどのように策略家に変貌していくのか、今から期待が高まる。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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