森友学園への国有地売却をめぐる決裁文書の書き換え疑惑を受け、理財局長時代に国有地売却に関連する文書を「廃棄した」と国会答弁していた佐川宣寿国税庁長官が9日、辞任した。さらに同日、森友学園への国有地売却交渉を担当した部署に所属していた近畿財務局の職員が数日前に自殺していたことも判明した。
「数日前から首相官邸では佐川長官の辞任はやむなしとの流れになっており、麻生太郎財務相の“身代わり”に辞任したかっこうです」(国会議員秘書)
政治ジャーナリストの朝霞唯夫氏は「安倍下ろしが水面下で本格的に始まり、安倍三選の阻止の号砲があがった」と語るが、果たして今後の政局はどう動くのか――。
検察のリークか
そもそも、今回の書き換え疑惑は、なぜ突然浮上したのか。朝霞氏はいう。
「大阪地検特捜部が近畿財務局を捜査しているなかで書き換え文書を発見し、一時は見逃す動きもあったが、さすがにこれは看過できないと義憤にかられた捜査官の一人が、朝日新聞にリークしたのではないかと言われています。今や政府機関紙と化した読売新聞や産経新聞にリークしたところで、握りつぶされる可能性がある。一方、安倍政権と敵対関係にある朝日1社にリークすれば、確実に報道してくれると考えたのではないでしょうか。しかも、実は改ざん作業は近畿財務局ではなく財務省本省で行なわれ、このままだと握りつぶされてしまうという危機感が特捜部にはあったともいわれています」(朝霞氏)
前出・国会議員秘書も、「正義感にかられた捜査官が、親しい朝日記者にリークしたという見方が支配的」という。
では、なぜ佐川長官に辞任に及んだのか。
「政治と行政をリードしているという自負の強い財務省は、政治主導の内閣府人事局に人事権を握られ、屈辱的な思いをしている。そして佐川氏についても、『財務省内にはほかにも優秀な人材がいるのに、なぜ佐川氏が国税庁長官なのか』という声があります。時の政権におもねった人物が出世することと今回の文書書き換え問題は、密接につながっています。今回、自殺した職員の遺書のなかには佐川氏のほか、財務省内の職員名の名前があったといわれており、その情報を知った佐川氏は辞任に至ったというのが今回の顛末でしょう」(朝霞氏)