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ガソリン車が世界的に禁止、「石油の時代」終焉か…国内石油各社は危機感ゼロ

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「Gettyimages」より

 電気自動車(EV)時代の足音が近づくなか、石油の時代終焉について議論がにぎやかになっている。石油需要は急減こそしないものの、ピークを2030年代に迎えるとの予測も出始めている。国内の石油元売り各社も大きな構造転換に乗り出す必要があるが、現状の好業績に浮かれ、この世の春を謳歌するばかりだ。彼らは焦燥感に無縁なのか――。

 業界関係者を驚かす発表があったのが18年2月。イギリスの大手石油会社で国際石油資本(メジャー)の一角をなす英BPは、石油需要が30年代後半にピークに達し、その後、減少に転じるとの見通しを発表した。

 この発表が衝撃的だったのには2つの理由がある。ひとつは、これまで保守的な姿勢をくずさなかったBPが、初めて長期予測に石油の需要ピーク時期を盛り込んだ点。もうひとつが、30年代をピーク時とした点だ。IEA(国際エネルギー機関)やOPEC(石油輸出国機構)、ほかのメジャーは石油需要のピークを40年代と予測しており、BPの予想は一気にそれを前倒ししたことになる。

 需要予測に大きく影響しているのがEVの普及だ。17年には英、仏が40年までにガソリン車とディーゼル車の新規販売をすべて禁止することを目標として打ち出し、中国、インドも追随する構えだ。

呑気な石油元売り会社


 世界的にEV時代の到来が早まる可能性が高い上に、日本国内は少子高齢化で需要の伸びが見込めない。日本の石油元売りの危機感はかなり高いかと思いきや、経済部記者は驚くべき実情を明かす。

「元売り幹部は記者との懇親の席で、真面目な顔で『新興国での需要は堅調だ。輸出競争力があれば、リストラせずに今の生産体制でも戦える』と豪語していた。為替リスクを負った輸出事業は水物であることは、これまでも経験済みなはず。いまだにマインドチェンジができていない。経営に大なたを振るう気配もない」

 実際、17年4月に旧JXホールディングスと旧東燃ゼネラル石油が統合して発足した最大手のJXTGホールディングスは、統合前から人員や生産体制の余剰を指摘され、統合から1年以上経過するが、いまだに早期退職も実施していない。10以上ある製油所で閉鎖を決めたのも1カ所のみだ。

 3月に22年度までの5カ年の中期経営計画をまとめたコスモエネルギーホールディングスも、EVへの本格対応を盛り込まなかった。前出の記者は「今回の中計でなく、次期中計の課題として説明していた。呑気としかいいようがない」と切り捨てる。

 危機感の希薄さは、足元の業績が絶好調であることも影響しているかもしれない。直近1年は原油価格が想定を上回るかたちでなだらかな上昇が続いた。業界再編を機に市場に出回る供給量が減少し、需給が引き締まったことで各社の利益は高水準にある。JXTGホールディングスは上場来高値を更新し、業種別日経平均「石油」は約10年ぶりの高値水準をつけた。

 とはいえ、経営者として眼前にあらわれたEV対応は避けられないのだが、遠い先のこととして直視をしていない。元売り各社の経営陣にしてみれば、30年代など黄泉の国から眺める景色なのかもしれないが。
(文=編集部)

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