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『共謀』が明らかにする「ロシア疑惑」の闇

ロシア、冷戦期からトランプ氏を調査か…握っている「弱み」とは

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『共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ』(集英社/ルーク・ハーディング著、高取芳彦、米津篤八、井上大剛訳)
 中国製品への制裁関税適用、シリア攻撃など、通商・軍事面の大きな決断が目立つアメリカのドナルド・トランプ大統領。しかし、彼の「大統領としての資質」を問う声は、いまだアメリカ国内に根強く残っている。


 その源は、いうまでもなく「ロシア疑惑」である。これは、ロシアがサイバー攻撃などによって2016年のアメリカ大統領選挙に干渉し、「トランプ陣営と結託していたのではないか」とされる問題だ。追及が進む一方でいまだ決定的な証拠は見つかっていないが、さまざまな関係者の証言から、少しずつ全貌が明らかになってきている感もある。

 その最たるものが、『共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ』(集英社/ルーク・ハーディング著、高取芳彦、米津篤八、井上大剛訳)である。イギリスのジャーナリストであるルーク・ハーディング氏は、ロシア側も含む膨大な数の関係者への取材によって、「ロシア疑惑」というあまりにも大きな「絵」の空白を埋めていく。

 この連載では、ロシア疑惑にまつわる基本的な疑問を、本書をお供に紐解いていく。第1回となる今回は、トランプ氏とロシア(あるいはウラジーミル・プーチン大統領)の関係はいつから始まっていたのかという点に迫る。

冷戦期からトランプを調査していたロシア


 ロシア疑惑について知っておくべきなのは、「ロシア側はピンポイントでドナルド・トランプという人間を狙い撃ちにしたわけではない」ということだ。

『共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ』(集英社/ルーク・ハーディング著、高取芳彦、米津篤八、井上大剛訳)
 ロシアは国家の情報戦略として、旧ソビエト連邦時代から、自分たちに西側諸国の情報を提供してくれたり、手先となって動いてくれたりする人間を常に探していた。当然、そうした人間は母国での社会的地位が高いほうが望ましい。ターゲットになるのは、有望なビジネスパーソンや科学者など、将来大きな影響力を持ち得る人間である。トランプ氏についても、あくまでそうした狙いの上で接触した人間のひとりだったのである。

 ロシアだけでなく冷戦時代の東側陣営すべてを含めると、1977年にはチェコスロバキアがトランプ氏の身辺調査を始めていたという記録がある。この年、すでにビジネスで成功を収めていたトランプ氏が同国出身のモデルの女性と結婚したことで、「情報を得るチャンス」と見たチェコの情報機関が彼らを監視対象としたためである。そして、そこで得た情報はロシアのモスクワに流れていた。

 では、ロシアはいつからトランプ氏に目をつけていたのか。本書にはロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の軍事スパイだったヴィクトル・スヴォーロフ氏の、こんな証言が取り上げられている。

「すべてタダでした。素敵な女性のいる楽しいパーティが開かれ、サウナもあるし、女の子もいるし、ありとあらゆることが楽しめるんです」

 前途有望な人材に自国を訪問させるように仕向けては歓待の限りを尽くし、感化させるか弱みを握って脅迫する。これが、旧ソ連時代から続くロシアのやり方なのだ。スヴォーロフ氏は、こんな証言も残している。

 ゲストたちは「監視カメラなどにより24時間体制で管理」され、その目的は「そこで収集したある種の情報を、将来のために保管しておく」ことだというのだ。

『共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ』

機密文書のリークが発端となった「ロシア疑惑」は、トランプ政権の閣僚、スタッフが次々と辞任、起訴に追い込まれ、大統領本人の聴取をめぐってFBIとトランプ側の攻防が繰り広げられている。そもそも、トランプとロシアが結びつくきっかけは何だったのか、誰が関わっているのか。細かい取材の積み重ねで、複雑なルートが少しずつ明らかになっていく。

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