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オリンパス、腐敗行為防止法違反の疑い…社員が内部通報も、揉み消しか【1】

文=山口義正/ジャーナリスト
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オリンパス、腐敗行為防止法違反の疑い…社員が内部通報も、揉み消しか【1】の画像1オリンパスの事業所(「Wikipedia」より/Kamemaru2000)

 7年前の夏、筆者はオリンパスの損失隠し事件をスクープした。それをきっかけに東京地検特捜部と警視庁捜査二課、証券取引等監視委員会の三者合同という異例の捜査態勢で不正は解明され、損失隠しで二重底になっていたバランスシートが修正されるとともに経営陣が入れ替わり、むやみに多かったグループ会社は整理された。オリンパスは経営体制も財務内容も健全な企業に生まれ変わった――はずだった。

 しかし、オリンパスはやはりオリンパスだった。困ったことが起きると外部の怪しげな連中に揉み消しや隠蔽を依頼する悪い癖は治っていなかったのだ。今回の舞台は中国・深圳。問題は中国マフィアと疑われる勢力を使った贈賄疑惑である。オリンパスが米司法省(DOJ)や米連邦捜査局(FBI)の影に怯えなければならない新たな疑惑とは何か、その内幕について記そう。7年ぶりにオリンパスに厳しい夏がやってくる。

 2016年5月頃にオリンパス関係者が筆者に提供した、一通の内部資料がすべての始まりだった。都内の喫茶店でこの関係者と落ち合い、A4サイズの封筒に入った数十枚の資料を受け取ったのだ。資料を封筒から取り出してみると、表紙には「最終報告書」と表題が書かれており、日付は「平成27年10月29日」となっている。「オリンパス株式会社S調査委員会」宛てに、大手法律事務所の西村あさひ法律事務所とシャーマンアンドスターリング外国法事務弁護士事務所の弁護士が作成したもので、表紙の右肩には「confidentialマル秘」の印が押してある。S調査委員会の“S”とは、中国・深センの頭文字だ。

 ことの起こりは2006年5月までさかのぼる。デジタルカメラの製造を手掛けるオリンパスの深セン子会社(OSZ)で実際の在庫と理論在庫が大きく食い違っていることを北京総署が指摘した。実在庫と理論在庫の大幅な食い違いは、税金の支払額に関わる問題であるうえに、最悪の場合、オリンパスは数百億円にのぼる罰金の支払いを求められる恐れが浮上した。OSZは深セン税関に対して手を尽くして問題の解決に当たったが、効果は薄かった。

 そこに中国の消防局から別の問題が指摘される。消防検査で認可申請や設備の不備などが見つかったのだった。

社員が監査役に通報

 ここで現れたのが経営コンサルタントの安遠(のちに安平泰として設立登記)である。安遠は中国の公安出身者とのことで、消防問題を手際よく解決して見せた。ところが安遠は中国の反社会的勢力であるとして、贈賄疑惑が中国メディアでも報じられたことのある存在でもあった。OSZ内でも安平泰の素性が問題になりかけたが、「反社会的勢力であるとの確証は得られない」として、2013年に理論在庫問題の解決も依頼。翌年8月に理論在庫問題は解決をみた。

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