リニア中央新幹線の新駅工事をめぐるゼネコン大手4社による談合事件に関して東京地検特捜部は3月23日、独占禁止法違反(不当な取引制限)罪で、大成建設、鹿島建設、大林組、清水建設の法人4社と、同法違反容疑で逮捕した大成建設の元常務執行役員、大川孝容疑者と鹿島建設のリニア担当部長、大沢一郎容疑者を起訴した。
談合に関与したとして在宅のまま捜査を続けてきた大林組の元副社長ら2人と清水建設の元執行役員について、特捜部は捜査に協力した点などを考慮して不起訴(起訴猶予)とした。
大林組と清水建設は談合を認め、独禁法の課徴金減免制度に基づき、公取委に自主申告した。一方、大成建設、鹿島建設と、大川、大沢両被告は、いずれも各社間の情報交換を認めながらも起訴内容については否認しているという。最高裁まで争う構えだ。
大手ゼネコン4社が起訴されたことを受けて、国土交通省は4社を4カ月の指名停止処分にした。他の省庁や自治体にも指名停止処分が広がった。
そのリニア中央新幹線の談合事件が、大手ゼネコン各社の決算にどういう影響するか注目された。
【ゼネコン大手4社の純利益】
※以下、社名:18年3月期実績、19年3月期計画(前期比)
・大成建設:1267億円(40.0%増)、910億円(28.2%減)
・鹿島建設:1267億円(20.9%増)、820億円(35.3%減)
・大林組:926億円(1.9%減)、980億円(5.8%増)
・清水建設:849億円(14.1%減)、910億円(7.1%増)
18年3月期決算の純利益は、談合を自主申告した大林組と清水建設は減益、談合を否認した大成建設と鹿島建設は増益。逆に、19年3月期の純利益は大林組と清水建設が増益、大成建設と鹿島建設が減益の見通しだ。
大成建設と鹿島建設は19年3月期で大幅減益見通し
18年3月期の純利益で首位が交代した。トップは大成建設の1267億円。前期より40%増えた。鹿島建設を約1000万円上回り、僅差でトップに立った。
2020年の東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場を建設中の大成建設は首都圏の大型再開発工事が順調。営業利益(1818億円)は2期連続、純利益は3期連続で過去最高を更新した。営業利益率は11.5%で、他のゼネコンが8%前後なのに比べて突出して高い。
リニア新幹線の談合事件で、独占禁止法違反罪で法人として起訴されたが、該当する受注案件がないとして罰金(課徴金)の納付を特別損失に計上しなかった。
19年3月期は前期に土木・建築両事業で大型工事が進捗して利益を計上した反動で、純利益は910億円と2ケタ台の減益になる。