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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

中国出身「王」氏が開業の田端プリンスホテルに、本家プリンスホテルが名称差止通告

文=鷲尾香一/ジャーナリスト

 4月に当サイトが報じた、田端プリンスホテルにプリンスホテルが名称差止の通告を行っている問題が、徐々に大きくなりつつあるようだ。5月27日にはテレビ番組『サンデーステーション』(テレビ朝日系)でも取り上げられた。

 4月1日にオープンした東京都北区田端新町の田端プリンスホテルは、西武グループのホテルチェーン「プリンスホテル」とはまったくの無関係であり、商標登録違反の可能性が高いとして、本家のプリンスホテルが訴訟の準備をしている。

 田端プリンスホテル関係者は、筆者の取材に対して以下のように回答している。

――商標法違反にあたるのでは?

田端プリンスホテル関係者(以下、田端P) 日本全国にプリンスホテルと関係がなくても、プリンスホテルと名乗っているホテルはたくさんある。

――プリンスホテル側から抗議されたのでは?

田端P プリンスホテルのホームページは見たが、プリンスホテルからは何も言ってきていない。

――名称を変更するつもりはないのか?

田端P プリンスホテルから何も言ってきていないし、問題になっていないので、検討以前の話。

 この時点で、すでにプリンスホテルは田端プリンスホテルに対して抗議を行い、「名称差止」の通告書を出している。つまり、プリンスホテルの抗議を“無視”したわけだ。『サンデーステーション』でもその姿勢に変化は見られない。「他もプリンスを使っており、ウチだけかなという不公平感がある」との主張を繰り返している。

 ただ、同番組の取材では、新たに明らかになった事実もある。それは、田端プリンスホテルのオーナーが大朝氏という中国出身の人物であり、中国名は王であることだ。そして、「プリンスホテル」という名称を使った理由について、大朝氏は「王という名前からプリンスと付けた」と説明している。その上で、「プリンスホテルとは関係なく、ロゴもまったく違う」と強弁しているのだ。

高級なブランドイメージ毀損の懸念も

 プリンスホテルは1992年にホテル名やロゴマークなどを商標登録しており、同年4月1日の改正商標法施行では、ある名称を同日の6カ月以上前から継続して使用しており、同年9月末時点でも使用していた場合には、その名称の使用権が認められることになっている。

 現在、西武グループと関係のない「プリンスホテル」は全国で20ある。田端プリンスホテル側の主張は、この点を指摘しているわけだが、プリンスホテルによると、92年4月1日以降に開業したホテルで「プリンスホテル」の名称を使用しているケースは確認されていない。

 大朝氏が中国出身ということからか、田端プリンスホテルの宿泊者は中国人観光客が多いといい、1泊1人5200円からという低価格設定が売りのようだ。一方、本家プリンスホテルは高いブランド力を有しており、特に田端プリンスホテルが英語名で使用している「ザ・プリンス」という表記は、プリンスホテルでも国内に5カ所しかない高級ブランド。プリンスホテル側としては、ブランドイメージを傷つけられることは看過できない。

 商標や特許といった権利に対する意識の低さは、中国系企業の特徴なのだろうか。多くの世界的なブランドも、中国系企業による知的財産権の侵害という問題に悩まされているのは、いうまでもない。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

鷲尾香一/ジャーナリスト

鷲尾香一/ジャーナリスト

本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。

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