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相次ぐ食材偽装、思わぬ飛び火で揺れる関西財界~透けるホテル業界の厳しい経営環境

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相次ぐ食材偽装、思わぬ飛び火で揺れる関西財界~透けるホテル業界の厳しい経営環境の画像1阪急阪神ホテルズが運営するホテル阪急インターナショナル(「Wikipedia」より/Kirakirameister)
 昨年12月19日、消費者庁は景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、阪急阪神ホテルズ、ザ・リッツ・カールトン大阪を経営する阪神ホテルシステムズと近畿日本鉄道の3社に対し、再発防止を求める措置命令を出した。対象となったのは3社合わせて15施設・55の料理店。近鉄はウェスティン都ホテル京都や奈良万葉若草の宿三笠を運営している子会社の近鉄旅館システムズが対象だ。若草の宿三笠は旅行サイトで「奈良独自の地鶏、大和肉鶏」の料理を提供するかのように宣伝したが、実際は仕入れていなかったことを消費者庁が確認し、景表法が禁じる「おとり広告」と認定した。

 メニューの偽装発覚は、阪急阪神ホテルズを皮切りに、有名ホテルや百貨店に広がり、連日のように謝罪会見が開かれた。一連の騒動で発覚した偽装表示は数十種類に上った。このうち消費者庁は、バナメイエビを「芝エビ」、一般的なネギを「九条ねぎ」、スパークリングワインを「シャンパン」、通常の野菜を「有機野菜」、サメやタラの卵を「からすみ」などと表示して提供したことについて、著しく良いものだと誤解を与える優良誤認に当たると認定した。

 これほどまでに食材偽装が広がった背景には、ホテルや百貨店内部における強いコスト削減圧力があったためといわれている。阪急阪神ホテルズの偽装が始まったのは、リーマン・ショックがあった2008年頃であり、まさにホテル業界が急激に厳しい環境下に突入した時期と重なる。

●ホテル業界の苦悩

 ホテル業界の売り上げは、06年まで増加傾向にあった。07年は横ばいだったが、リーマン・ショックを境に08年から東日本大震災が起こった11年まで減少が続いた。しかし、12年に入り東京地区のホテル稼働率は回復。さらに12年末からの円安が寄与し、外国人観光客が増加して上向きに転じた。昨年には国内の景気回復や富士山が世界遺産に登録されるなど追い風が吹き、ホテル業界はようやく息を吹き返した。

 この間にホテル業界の競争は激化した。外資系ホテルの新規参入が相次いだためだ。03年以来、フォーシーズンズ(カナダ)、グランドハイアット(米)、コンラッド(ベルギー)、マンダリン・オリエンタル(香港)、ザ・リッツ・カールトン(米)、ザ・ペニンシュラ(香港)、シャングリ・ラ(香港)、セントレジス(米)など高級ホテルが次々と開業した。

 外資系高級ホテルの進出がピークを迎えた07年には、東京のホテル業界は「2007年問題」といわれ、その直後にリーマン・ショックが重なり、氷河期に突入した。ホテルは利益が出ない業種の典型になった。例えば、阪急阪神ホテルズ、阪神ホテルシステムズを傘下に置く阪急阪神ホールディングス(HD)を見てみよう。同社のホテル事業は、国内のホテル業界のランキングでは西武グループのプリンスホテル、JALホテルズ、会員制リゾートホテルのリゾートトラスト、東急ホテルズに次ぐ第5位の規模だ。

 阪急阪神HDの13年上半期(13年4~9月)の連結決算によると、ホテル事業の営業収益(売上高に当たる)は前年同期比0.7%減の312億円、営業利益は2億3300万円の黒字(前年同期は2億4200万円の赤字)に転換した。不採算のホテルから撤退するなどのリストラ効果と外国人宿泊客の増加で増益に転じた。12年通期のホテル事業は、阪急阪神HDの事業部門の中で唯一赤字だった。関西圏のホテルの値下げ競争が影響したためとみられている。

 ホテルが赤字から脱却する一般的な対策は、客を呼び込み稼働率を高めるべく客室の宿泊料金を下げる、利益を確保するためにコストを削減する、その手始めに人件費と食材費を削るというものだ。

BusinessJournal編集部

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