「忙しい」が口癖になってはいないだろうか。
やらなければいけないことがたくさんあって「時間と戦う」という意識をもってしまうと、心の余裕がなくなり、ストレスも溜まってしまう。
そうすると、「忙しい、忙しい」と言ってしまうものだが、この言葉を聞いている側はあまり良い気持ちはしない。
『忙しさを上手に手放す思考術』(本間正人/著、クロスメディア・パブリッシング/刊)は、忙しさに追われまくっている多くの現代人のために「時間を味方につける」発想と具体的なスキルをセルフコーチングの第一人者である本間氏が紹介する一冊だ。
ここでは、「忙しい」が口癖になっている人に向けて、本書からその忙しさから抜け出す方法を一部、紹介する。
■とりあえず8割を目指そう
目の前の仕事や、やるべきことを片づけるとき、「きちんとやらなければ」という思いが強いことは悪いことではない。しかし、この思い込みがストレスになったり、時間をうまく使えない原因になっていることもある。
「限界効用逓減の法則」というのがある。完成までに3時間かかる仕事があったとして、80%くらいまでは最初の1時間でいってしまう。しかし、次の1時間では10%、次の1時間では5%というように1時間あたりの生産性はどんどん低くなっていくという法則だ。
工場のライン作業には当てはまらないが、企画書などの知的副産物については、この法則が当てはまるケースが多い。とりあえず、8割程度を目指して手早く仕上げ、あとは誰かのフィードバックを受けてから改めて完成を目指すやり方のほうが時間を効率的に使えるのだ。
■視点を変えるためにフィードバックを受ける
もうひとつの方法として、一発で完成品を出す、というよりは「プロトタイプ(試作品)を出して、バージョンアップしていこう」という気持ちで臨むことが挙げられる。許される時間内でのベストな状態のものを出して、あとは周囲の人に揉んでもらう。いろいろな人からフィードバックを受けることで、さらにバージョンアップしていけばいいのだ。「これは私が作った企画」「私の提案」と固執すると、フィードバックを受けるのがつらく感じるが、みんなで作っていこうよ、という気持ちで視点を変え、距離を置いてつきあっていくと、思わぬ道が開けることもある。
完璧主義が良いか悪いかはどちらともいえることではないが、なんでも最後まで自分でやろうとするのではなく、周囲の協力を得たほうが、いろいろな角度から見てもいい結果が出ることがあるということは知っておくべきだろう。