一人暮らしをしていた母親が亡くなってから何年もたっているにもかかわらず、死後の分についてもNHKから受信料を請求されている、という旨の投稿がツイッター上に上げられ、大きな話題になっている。
内容を整理すると、
・投稿者の母親は何年も前に亡くなっている
・その母親宛てにNHKから督促状が届いた
・母親は一人暮らしで、現在はその家に誰も住んでいない
・NHKに事情を説明するも、先月分までの受信料を支払うよう求められる
ということのようだ。
一般的には、契約者が亡くなった時点で受信料の支払い義務はなくなりそうに思えるが、相続人は支払わなければならないのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に話を聞いた。
解約の連絡をするまで受信契約は継続
「NHKの受信料は、放送法第64条に基づき、受信契約を締結することによって発生します。
ところで、契約というものは、芸能人とプロダクションとの間の芸能契約や、サッカー選手とクラブとの間の選手契約、また身近なところでは雇用契約のように、その人の特性・才能・能力を見込んで契約を締結するような『一身専属的な契約』でない限り、相続人が相続することになります。つまり、相続人がその契約に基づく権利や義務を受け継ぐことになるのです。
たとえば賃貸借契約では、親がアパートを借りている場合において、その親が亡くなると、原則として賃料を支払う義務などを受け継ぐこととなります。それが嫌なら、ほかの財産などと合わせて相続放棄をしなければなりません。
では、NHK受信契約が一身専属的かどうかというと、『受信者』はテレビを持っていれば誰でもいいわけですから、一身専属的ではありません。
したがって、すでに亡くなっている方についても、『亡くなったこと』を理由にNHK受信契約を解除するまでは受信料が発生しますし、相続人はこれらを支払わなければならないわけです。
とはいえ、一般人の感覚からすれば、ひどい話です」(山岸氏)
そこでNHKに、亡くなった時期について証明しても、解約するまでの期間分も受信料を請求されるのかについて問い合わせたところ、次のような回答だった。
・受信契約を解約する場合は、「日本放送協会放送受信規約」に基づき、NHKへの届け出をいただいています。
・一人暮らしの受信契約者が亡くなった場合は、ご家族や親類の方などからの届け出で解約の手続きをいたします。
・一人暮らしのご契約者本人がお亡くなりになった場合については、公的な証明書類を提出いただくなどしたうえで、個別のご事情を詳しくお伺いして、適切な対応をとることとしています。
「個別のご事情を詳しくお伺いして、適切な対応をとる」としていることから、亡くなった後の受信料については交渉の余地があるのかもしれない。
(構成=編集部)