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HR総研所長・寺澤康介「ビジネスパーソンのための王道キャリアアップ」(8月13日)

蔓延するリーダーシップ幻想の罠 カリスマ性は不要、真のリーダーへの第一歩とは?

文=寺澤康介/HRプロ社長、HR総研所長
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リーダーになるための第一歩

 その際、必ず自分に言い聞かせるべきことがある。それは、「他人のせいにしない」という言葉である。これは、組織の言いなりになれと言うこととはまったく逆で、自分と周りの環境や関係性を変えることができるのも、実は自分自身だということだ。

 もちろん人によっては、自分の力ではまったく変えられない仕事環境だという人もいるだろう。しかし、冷静になってじっくり周りを見渡してほしい。そのような環境でもうまくやれている人はいないか。自分から今の環境を変えるために働きかけをしているのか。もしくは、自分自身を変えることで周りとの関係性を変化させられないか。

 組織の中で自分のポジションを上手につくり、そこで周りを自分の意図に合わせて動かしていくことがリーダーとして最低限やるべきことである。それを、周りの環境が整わないからと言って他人のせいにしているようでは、リーダーとしての第一歩すら踏み出せていないといえるだろう。

 どうしようもない組織であるなら辞める、という決断も自分自身の手にあるわけで、辞めていないのであればそれも自分自身の決断なのである。

 とにかく、どのような状況でも「他人のせいにしない」ことが、リーダーになるための第一歩である。

●カリスマ・リーダーになる必要はない

 さて、リーダーというと、組織をぐいぐい引っ張っていくカリスマ的な、生まれつきのリーダーのような人をイメージするかもしれないが、実はそうした人は本当にまれである。また、カリスマは必要ないという経営研究もある。

 組織が求めているリーダーとは、周りを動かして成果を上げることであり、その時代の多くの社員に適合した「人の動かし方」が必要となる。

 今の時代のリーダーは、周りの意見をよく聞き、他者に対する思いやりを持って接し、共感・信頼を得ることで、組織を目指す方向に動かすことが重要だという指摘が多い。

 こうしたリーダーシップのタイプを、「サーバント・リーダーシップ」という。サーバントとは「使用人」という意味で、部下を支えるためにリーダーは存在するという考え方に立っている。

 次回は「サーバント・リーダーシップ」とは何か、それを磨くために必要なことは何かを説明しよう。

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(文=寺澤康介/HRプロ社長、HR総研所長)

●寺澤康介(てらざわ・こうすけ)
HRプロ株式会社代表取締役社長、HR総研所長。1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。企画制作部長等を経て、01年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、07年採用プロドットコム(10年にHRプロに社名変更)設立、代表取締役社長に就任。5万5000人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。約25年間、大企業から中堅中小企業まで幅広く、採用。人事関連のコンサルティングを経験。「週刊東洋経済」「労政時報」「企業と人材」、NHK、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、「AERA」「週刊文春」などに執筆、出演、取材記事掲載多数。企業、大学等での講演を年間数十回行っている。

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