インフルエンザにタミフルは効かない!高確率で嘔吐や精神障害 すでに欧米では利用わずか
今年もインフルエンザの季節がやってきました。ワクチンの値上げも話題になっています。
今回は、昨年発表された「コクラン共同計画」でのタミフルの調査報告をご紹介します。
英国に本部を置き、医療行為の有効性に関する情報を提供する国際的非営利団体のコクラン共同計画が昨年4月、インフルエンザ治療薬「タミフル」に関する調査報告を発表し、衝撃が走りました。タミフルはインフルエンザにはほとんど効かないうえ、高い確率で副作用が出るという結果が出たからです。
発表された内容の骨子は、以下のようなものでした。
問い:タミフルはインフルエンザに効くか?
答え:ノー
タミフルを使用した成人インフルエンザ患者の発症期間は6.3日。投与しなかった成人患者の発症期間は7.0日で、早く治るという明確な結果は得られなかった。
問い:タミフルは安全か?
答え:ノー
副作用として成人の4%、小児の5%に吐き気や嘔吐が見られ、3.1%が頭痛を訴えた。また、タミフルを予防的に服用した人の1.1%に精神症状が表れた。
そして、「インフルエンザの予防または治療のいずれかのために、タミフルなどノイラミニダーゼ阻害剤の使用に関して意思決定を行う際には、利益と害のバランスを考慮すべきである。インフルエンザウイルスに対する特異的な作用機序をメーカーが(有効性の根拠として)提示しているが、これは、臨床的エビデンスには合致しない」とも記しています。
この報告が大きな意味を持つのは、9623人のデータを解析して行われた、最も信頼のおける調査だからです。それを可能にしたのはタミフルの製造元である巨大製薬企業・ロシュから臨床データを提出させることに成功したからです。
ロッシュは、はじめは自分たちに不利な結果が出ることを恐れ、さまざまな理由をつけて臨床データの提出を拒んでいましたが、コクラン共同計画が英国や北欧などの政府を動かして圧力をかけた結果、ついに入手に成功したのです。
タミフルを大量に使用する日本
この調査報告の発表が行われたあと、コクラン共同計画は提携関係にある英国医師会報編集局と共同で各国の政府にタミフルの使用を再検討するよう声明を出しています。
英国では国民の8割に処方できる膨大な量のタミフルを備蓄していたので、メディアは一斉にトップ扱いで報じました。特に秀逸だったのは、英国を代表する新聞であるガーディアンの長大な記事でした。同紙は、「英国政府はこの薬にこれまで5億ポンド(925億円)も使ってきた。これはスキャンダルだ」と断じたあと、英国流のブラックユーモアで、「100万人にタミフルを処方すれば、4万5000人が嘔吐し、3万1000人が頭痛を訴え、1万1000人に精神障害が出る。もしインフルエンザの大流行が始まったら、我が英国には5000万人分のタミフルがあるのだから、すごい嘔吐量になりそうだ」と痛烈に皮肉っています。
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