三井不動産は、米ニューヨークのマンハッタンに地上58階(高さ約300メートル)の超高層オフィスビル「50ハドソンヤード」(仮称)を建設する。総事業費は4000億円超で、9割を三井不動産が出し、残りを現地企業が負担する。年内に着工し、2022年の竣工を目指す予定で、完成後も長期保有するという。
「50ハドソンヤード」は、マンハッタンで米国有数のデベロッパーなどが手掛ける大規模開発プロジェクト「ハドソンヤード」(面積11ヘクタール)の敷地内に建設する。ビルの敷地面積は6400平方メートルで、地下3階、地上58階建て、延べ床面積は26万平方メートル。01年の米同時多発テロで倒壊した世界貿易センタービルの跡地に建てられた「ワン・ワールドトレードセンター」とほぼ同じ規模で、単体のオフィスビルとしてはマンハッタンで最大級となる。
オフィスのほかに店舗も入る。大型テナントの本社利用を想定し、専用ロビーフロアを複数設ける。すでに中核テナントのひとつとして、世界的な資産運用企業ブラックロックと賃貸借契約を結んだ。
ブラックロックは、30カ国以上で資産を運用しており、運用資産残高はグループ全体で639兆円(17年6月30日時点)に上る世界有数の資産運用会社だ。バンク・オブ・アメリカをはじめとした欧米の金融機関や、邦銀でもみずほフィナンシャルグループが出資している。
ブラックロックを育てたローレンス・フィンクCEO(最高経営責任者)は、米投資銀行ファースト・ボストン(クレディ・スイスが買収)を経て独立。知日家として知られる。
ブラックロックの日本法人が今年1月、東芝株を5%以上購入して話題になった。同社の投資先はキヤノンや富士通、パナソニック、ソニー、東レ、花王など、日本を代表する企業20社に及んでいる。
三井不動産は、「50ハドソンヤード」を世界最大のファンドの総本山にしたい考えのようだ。
マンハッタンは1980年代末に容積率が変更され、ビル建て替えの利点が薄まり、90年代以降は新築ビルの供給が激減した。年平均供給量は東京都心3区(千代田、中央、港)の3分の1の20万平方メートル程度。オフィスビルの供給が少ないため希少性が高く、長期間、安定した賃料収入が見込めるとしている。
三井不動産の開発案件としては、日本国内を含めて最大規模となる。