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大江英樹「おとなのマネー学・ライフ学」

節約しても決してお金は貯まらない…無駄な保険やスマホ等の「固定費」削減で大きな効果

文=大江英樹/経済コラムニスト
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節約しても決してお金は貯まらない…無駄な保険やスマホ等の「固定費」削減で大きな効果の画像1「Gettyimages」より

 書店にいくと、相変わらず「節約術」を取り上げた本が並んでいます。またファイナンシャルプランナーの人たちのなかにも「節約」を勧めるのが得意な人たちもたくさんいます。節約するということ自体、別に悪いことではありませんが、節約では決してお金を貯めたり増やしたりすることはできないというのが私の考えです。支出をコントロールすることは極めて大切なことですが、それをするのであれば、私は節約よりも無駄をなくすことのほうが、はるかに重要だと考えています。「節約する」のと「無駄をなくす」のはどう違うのか?

「節約」というのは“必要なものでも買わない”“欲しいものでも我慢する”というニュアンスがあります。また、家の中でこまめに電気を消すとか、風呂の湯は再利用するとかいった細かい項目がたくさん挙げられます。これは実行することで「自分はこんなにがんばってるんだぞ」という意識を高める心理的効果はありますが、実際に経済的な面で判断すると、それほど効果は高くありません。それよりも無駄な保険を解約したり、安易にローンを利用したりしないことのほうが、よほど効果は高いのです。

節約しても決してお金は貯まらない…無駄な保険やスマホ等の「固定費」削減で大きな効果の画像2『お金の常識を知らないまま社会人になってしまった人へ』(大江英樹/PHP研究所)

 実際、保険とローンは人生の二大無駄と言ってもよいもので、できることならなるべく利用しないほうが良いものです。しかしながら、どうしても利用せざるを得ない場合はありますから、その場合は最小限にとどめるのが賢明でしょう。ほかにも無駄な支出はたくさんあります。たとえば、どこかの団体の会費や毎月定期購読している雑誌や新聞、さらには携帯電話の契約で無駄なオプションがついていないかどうか、といったことです。こうした普段意識していない無駄をチェックすることで家計収支は大きく改善します。

 ではなぜ、そういった無駄を見直すということを、しっかりやらないかといえば、それは「よくわからない」し「面倒だから」です。人は何ごとにおいても“感覚的”に判断しがちで、論理的に考えたり、数字を検証したりするということが苦手なのです。結果として、あまり深く考えずにわかりやすい“節約”をしようとします。

「“意識していない”無駄」を削減する

 これは企業においてもまったく同じことがいえます。景気が悪くなり、業績が悪くなってくると真っ先に削られるのが3Kといわれる「交通費」「交際費」「広告宣伝費」です。いずれも目に見えるものでとてもわかりやすいからです。「タクシーは使うな!」「飲み会は禁止!」「広告はなし!」と、いずれもとてもわかりやすいものばかりです。

大江英樹/経済コラムニスト

大江英樹/経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。野村證券で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事した後、2012年にオフィス・リベルタス設立。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。資産運用やライフプラニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行っている。『定年楽園』(きんざい)『その損の9割は避けられる』(三笠書房)『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版社)など著書多数。
株式会社オフィス・リベルタス

Twitter:@officelibertas

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