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ゾゾ前澤社長が通う一食500万円のレストランの“価値”…日本人特有の金の使い方

文=兜森衛
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 通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するZOZOの前澤友作社長。個人資産は5500億円以上ともいわれ、今月には個人から100名に100万円、総額1億円の“お年玉”を現金でプレゼントすると宣言して話題を呼んだ。

 その前澤社長に食事をご馳走になったというタレントの出川哲朗が、先月16日に放送されたテレビ番組『アッコにおまかせ!』(TBS系)に出演した際、その食事代金が4人で「500万円近かった」と発言。インターネット上では都内のあるレストラン・A(仮名)ではないかと噂されている。

 Aは1日1組限定の会員制レストランで、会員数は30名程度だとみられるが、果たして4人で一食500万円もするお店とは、どのようなところなのだろうか。『東京イタリアン誘惑50店』(講談社)など多数の著書がある外食評論家で、文教大学国際学部国際観光学科教授の横川潤氏に話を聞いた。

「マグロの仲卸がAに関わっているので、確かに食材はどれも高級なものばかりですが、料理だけでひとり100万円以上というのは考えづらいですね。考えられるとすればワインでしょうか。ワインなら価格に天井はないので、料理と合わせれば100万円以上でもおかしくはありません。でも、一人100万円以上の店となると、私が知っている範囲ではほかにはありません。ひとり10万円の店なら都内にもたくさんありますけどね。

 銀座に有名な『かわむら』というステーキ屋さんがあります。カウンターのみの7席の店で、ぜんぜん予約が取れないことで有名です。そこはステーキを30分くらいかけてじっくりと焼くのですが、その間に高級食材のあわびなどのオードブルが出てきて、食事だけで10万円はいきます。それでも、ワインを入れたとしてもひとり20万円、30万円という感じです」

 では、海外には一人100万円以上するレストランがあるのだろうか。

「欧米には社交クラブがたくさんあります。アメリカでは、たとえば会員になるのが難しいゴルフ場やスポーツクラブが代表例で、そのレストランも社交場となりえます。でも、会費さえ払ってしまえば普段の料金は全然高くないし、そもそも一般的に社交クラブは男性ばかりで、女性とのデートに使うような習慣はありません。欧米は階級社会なので、高い食事代を払うのが偉いみたいなこともない。一番の接待は自宅に招くことで、食前酒からスタートして食事、食後酒……と延々と宴が続きます。その点、自宅に呼ばないで高級レストランで接待をすれば、体よくあしらわれたなという印象を持たれることさえあります。

 日本には近代からバブル期まで、料亭において目の玉が飛び出るような高額料理を供して接待する文化がありましたが、そういう文化は欧米にはないと思います。会員しか入れないというのは、ごく一部の特権階級が内緒話をするところであって、高額な料理を食べにいく場所ではないからです。今回の一人100万円以上というのもかなり日本的な感じがしますね。明らかに富裕層向けのレストランで、そういう特別感を売りにしているのでしょう。

 ただ、人が何を美味しいと思うかは極めて主観的なことで、こういう店でコストパフォーマンスがどうこうというのは、あまり意味がありません。そこで食事をしたり、会員になっていること自体がステータスだからです。レストランとして考えればちょっと奇妙なことですが、前澤さんがお金を払うに値すると思えば、それはそれでかまわないとは思いますけどね」

高い食材は“ブランド料”

 ちなみに出川哲朗は「俺も何を食べたか覚えてない。スパゲティとか。スパゲティにトリフがこんなに乗っている。めちゃめちゃうまかったです」と語っていた。

「グルメの世界では、“これは美味しいということにしましょう”という約束があるんです。その約束が守られた料理がたくさん出てくると、なんとなく美味しいと思ってしまう。でも、食材に依存し過ぎると、あんまり美味しいものはできない。食材を生かさないといけないからです。貴重な食材だから美味しいというわけでもないですしね。たとえばトリフなんかすごく香りが強いので、たくさん使うと30秒くらいで鼻がおかしくなっちゃう。つまり、トリフはたくさん使えばいいわけではない。料理人の力量がすごく問われるので、トリフの扱いに長けたシェフであれば、それだけでも有名になれるはずです。

 一般的に高い食材は“ブランド料”で、日本人はそれに弱いんですよね。そんな食材ばかりを毎晩食べていたら体を壊すし、楽しくないでしょう。同じ刺激だと飽きちゃいますからね。私もさんざん食べることを仕事にしてきましたが、食べものに過剰な関心がない方が絶対に幸せですよ。もっと美味しいものを食べたいとか、常に美味しいものを食べていたいとか、上を目指す人生は辛いので私はもうやめました。

 結論としては、自分がお金を持っていることを確認するためにAのような超高級店に行くのなら、それはそれでいいし、そういうお店に行けなくてもなんの問題もないということです。『一食で500万円使った』と言うと人々の反感を買うかもしれませんし、個人的には、もうちょっと違うお金の使い方があるのではないかと思います。お金さえ出せば食べられる都心の高級レストランをうらやむ必要はまったくないのです」

 アメリカのロケット企業「スペースX」社の民間月旅行計画にいの一番に手を上げた前澤社長。お値段は総額750億円以上ともいわれているが、経験にはお金を惜しまないのは、成功者たるゆえんなのかもしれない。
(文=兜森衛)

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