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有馬賢治「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」

トヨタ「スープラ」、17年ぶり“復活商法”の裏にしたたかな戦略

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
トヨタ「スープラ」、17年ぶり“復活商法”の裏にしたたかな戦略の画像1TGRFにて展示されたトヨタ・スープラ(A90)のプロトタイプ(「Wikipedia」より/SF-R)

「日本企業には優れた技術があるが、マーケティングのノウハウがないために海外企業に負けてしまう」という解説がよく聞かれ、書店にはマーケティングに関する書籍があふれている。そのマーケティングの基礎の基礎として、これまで複数回にわたって、ブランドのイメージ戦略について紹介してきた。そこで、良いイメージを構築するには地道な努力が必要であることを繰り返し説いてきたが、今回はブランドを消費者の印象に残す工夫について、立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に解説してもらった。

トヨタ「スープラ」復活はマーケティング的には安全策

――トヨタ自動車のスポーツカー「スープラ」が17年ぶりに復活することが話題を呼んでいます。これに限らず、スポーツカーは一般向けの車種に比べて販売台数も見込めず、トヨタも一時期開発を中止させていた分野ですが、なぜ今、スープラを復活させたのでしょうか。

有馬賢治氏(以下、有馬) 車名は車好きにとっては、象徴的な意味合いを思い起こさせます。特にスポーツカーでは、それが顕著で「ポルシェ」「フェラーリ」「ランボルギーニ」のように、車種に対する憧れを一部の消費者に強く抱かせることができます。つまり販売台数が少なくとも、スポーツカーはブランドのイメージリーダーとしての役割を担うだけの強さがあるということです。

――有馬先生は「過剰消費を美徳とする人は現代において減少傾向にある過剰消費は時代遅れ…世間とズレてる“消費の一人芝居”」とたびたび分析されていますが、このニュースはそれに逆行した展開といえますね。

有馬 そうですね。車を持ちたいと考える若い人はどんどん減っていますし、特に都心に住む人は、レンタカーやカーシェアリングで済ませてしまおうと考える人が多くなっています。ですから、今回の復活はトヨタのチャレンジでもあると思います。

 今回の復活で注目すべき点は、新型スープラはBMWと共同開発している点です。スープラもBMWも、スポーティで高品質というイメージが浸透しており、今回のコラボはイメージリーダー同士のシナジー(相乗)効果が期待できます。そのため、マーケティング的には安全策といえるのではないでしょうか。

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