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篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

日本のクラシック音楽に絶大な貢献をした「子供のためのオーケストラ鑑賞教室」の凄み

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「Getty Images」より

 アメリカの西海岸のビーチで、日本人が行っていた盛大なバーベキューに、水着姿のアメリカ人たちは足が止まりました。なぜなら、今まで経験したことがない醤油の匂いが漂ってきたからでした。

 それは、当時アメリカに進出したばかりの醤油メーカー、キッコーマンの駐在員によるバーベキューでした。海辺のバーベキューなんて、彼らもアメリカ生活をエンジョイしているように思いますが、まったく反対で、彼らにとっては背水の陣のバーベキューだったのでした。

 この話は、僕がアメリカに在住していたころ、日系人から何度も聞いた話です。1951年にサンフランシスコ講和条約が調印され、敗戦から立ち直り、一人前の国としてやり直し始めた日本でしたが、そのサンフランシスコでキッコーマン・インターナショナル社(現 キッコーマン・セールスUSA社)を設立したのは1957年でした。

 素晴らしい日本の醤油を世界へと意気込んだのはいいものの、当時、醤油はアメリカ人にはなじみがなく、全然売れなかったそうです。必死に醤油の良さを訴えてみても、まったく見向きされない……。彼らの意気込みとは裏腹に、万策尽きてしまいました。何をやっても駄目だったのです。そんなあきらめかけていたところに、ある駐在員が「何もしないで日本に帰るよりも、少しでも何かをしようじゃないか」と、たっぷりの醤油で味付けしたバーベキューをビーチで盛大に行ったのでした。目的は、醤油の香ばしい匂いを、周りで海水浴をしているアメリカ人に嗅がせて、試食してもらい、彼らに醤油の魅力を知ってもらうことでした。

 海辺のビーチでそんなことをやったところで、それほど効果はなかったとは思います。しかし、それほどまでに醤油を世界に広めるのだというキッコーマン駐在員たちの峻烈な思いが奏功し、今ではアメリカのみならずヨーロッパ、オーストラリア、アフリカをはじめとして世界中のスーパーマーケットで、陳列棚の目立つ場所で売られるまでになりました。

 僕も、仕事で海外に行くと長期間になることが多いのですが、醤油がどこでも手に入るので助かっています。日本の味に飢えてきたら、スモークサーモンでも、オイルサーディンでも、醤油をかけて食べるわけです。

 醤油は食の文化ですが、ほかの国に自分の国の文化を伝えるのは難しいことです。もともと、それらの国には存在しなかったわけで、必要性云々の前に、無くてもいいわけです。

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