アマゾン、出品企業に値下げ強制の実態…GAFA、巨額利益あげる日本で見合う税金納めず
この3月、自民党の競争政策調査会は「GAFA」と呼ばれるアメリカ大手IT企業を相次いで党本部に呼び、非公開でヒアリングを行った。GAFAとはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン4社の頭文字を組み合わせた略称である。これら巨大IT企業は国家を上回る資金力を背景に世界中から優秀な人材を集め、AI(人工知能)やビッグデータの技術を進化させ、インターネット関連のビジネスを思うがままに牛耳るまでになっている。日本の消費者も企業もGAFAのサービスへの依存度は深まる一方である。
まさに「第4次産業革命」の旗手のような存在感を発揮している。特に、過去10年間の急成長ぶりは目を見張るばかりだ。フェイスブックの売上高は7億770万ドルから560億ドルへ拡大。グーグルの場合は240億ドルから1360億ドルへ。そしてアマゾンに至っては245億ドルから2330億ドルへと爆発的な伸びを記録している。各社ともこれまで一貫して売上増を達成しており、アマゾンは世界最大の小売業であるウォルマートの時価総額を3割も上回る勢いだ。
そのアマゾンは従業員数も使用するロボット数も、また買収した企業数もマルチメディアやクラウドコンピューティングへの投資金額でも、すべてにおいて他社を圧倒している。顧客数は3億人を軽く突破してしまった。顧客の要望にこたえるため、理由のいかんを問わず、「返金スピードの速さ」でもナンバーワンの評価を得ている。
と同時に驚かされるのは、働き方であろう。アマゾンの物流センターを訪ねると、至る所に掲げられる標語に目を奪われる。「Work Hard, Have Fun, Make History」。日本で話題の「働き方改革」とは真逆の発想である。実は、創業社長のジェフ・ベゾス氏は物流センターで働いていた期間が長く、「顧客満足度を左右するカギは物流にある」との考えの持ち主。創業から20年間は物流に120億ドルもの投資を行ったという。
要は、利益よりも物流に資金をつぎ込み、顧客の利便性を追求したのである。何しろ、自社の空港まで所有するほどの力の入れようだ。こうした独自の発想と実行力で他社を寄せつけないシェアを獲得したのが、アマゾンである。言い換えれば、電子商取引の世界を物流面で支えるという前代未聞の覇権を確立したといえるだろう。
また、フェイスブックの登録利用者数は23億2000万人という。これは世界の全人口のほぼ3分の1に達する。このフェイスブックの傘下に入ったインスタグラムも負けてはおらず、2018年に10億人の大台に乗った。インスタグラムのユニークな点は、「インスタ映え」を競う20代、30代をターゲットに「ファッション・パス」と銘打った洋服やアクセサリーのレンタルビジネスを立ち上げたこと。「同じ衣装でインスタグラムに登場したくない」というユーザーの願望をとらえた新種のシェアリングビジネスといえよう。