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マッサージ店の倒産増加が止まらない…無資格者の施術が蔓延、不正な広告や療養費請求も

構成=長井雄一朗/ライター
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マッサージ店の倒産増加が止まらない…無資格者の施術が蔓延、不正な広告や療養費請求もの画像1「gettyimages」より

 オフィス街や住宅街でよく目にする、「指圧、マッサージ」や「接骨院、整体」の看板。一見、活性化している業界に見えるが、生き残り競争は激化しており、東京商工リサーチの調査【※1】によると、2018年の「マッサージ業、接骨院等」の倒産は93件に達し、過去10年間で最多を記録した。

 倒産の半数は個人企業で、従業員5人未満が全体の9割を占めた。また、国家資格の無資格者による施術、不正な広告や療養費請求も目立っているという。

「国家資格者の急増と、十分な知識や経験を得ないままの短期間の開業が競争の激化を招き、結果として不正が起きやすい業界体質になってしまっている」と語る、東京商工リサーチ情報本部経済研究室の関雅史課長に話を聞いた。

5年連続で倒産が増加

――「マッサージ業、接骨院等」の倒産はどのくらい増えているのでしょうか。

関雅史氏(以下、関) 18年の「マッサージ業、接骨院等」の倒産は93件(前年比36.7%増、前年68件)と、前年より大幅に増加しました。5年連続で前年を上回り、09年以降の10年間では最多となっています。負債総額は20億2700万円(同106.8%増、同9億8000万円)に達し、前年より倍増となり、過去10年間で最大です。ただ、負債10億円以上の大型倒産はなく、同5000万円未満が83件(同22.0%増、構成比89.2%)と小・零細規模が8割を占めました。

――確かに、個人事業主が多いイメージがあります。

 資本金別では、「個人企業」が52件(前年比18.1%増、前年44件)で全体の過半数(構成比55.9%)を占めています。従業員別では、5人未満が85件(前年比30.7%増、構成比91.3%)と9割にのぼり、小規模・零細企業の倒産が多いことを裏付けています。

――倒産が増えている理由はなんでしょうか。

 単純に同業店舗の増加が大きいと思います。都市部、地方を問わず、ロードサイドでも住宅街でも、マッサージ店や接骨院の増加を肌で感じている方は多いと思います。厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、「マッサージ業他の施術所」は06年に10万8139カ所でしたが、16年には13万6460カ所に増え、10年間で2万8321カ所(26.1%増)増えています。他業界に比べてIT化が遅れ、経営改革が進まないといわれていることも、倒産増加の要因でしょう。

――確かに、街中でマッサージ店や接骨院をよく見かけます。

 06~16年で、柔道整復師は3万8693人から6万8120人と76%増加しています。この背景には、資格取得のための養成校の増加があります。当初、国は需給調整のために養成校の増加を抑制していましたが、1998年に福岡地裁が新設を認めない国の対応を違法と判断したことで、方針転換が図られました。その後、全国で14校しかなかった養成校は2017年度には110校に増えています。

 この結果、地域によっては駅前に10店ほどのマッサージ店や接骨院が並んでいることも珍しくありません。さらに、簡易的な設備で開業できるという点も乱立を招いた要因でしょう。都市部やビジネス街にはクイックマッサージ店が増えており、競争激化に拍車がかかっています。

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