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新聞が“薄く”なり始めた?部数減&巨大な販売網維持コスト上昇でステルス値上げか

文=小林拓矢/フリーライター
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紙面再編の理由

 朝日新聞社に総合面の縮小について聞くと、次のような答えが返ってきた。

「弊社では毎年、コンテンツの見直しとともに、面の新設や改廃を伴う紙面改革を行っています。この春の改革はデジタル時代への対応として、朝刊では、深く掘り下げた読み解きや検証、解説を充実させることをめざしました。夕刊や別刷りを含め、コンテンツや面の構成を検討した結果の一つとして、朝刊の総合面は4ページとしました」

 従来、総合面は1面が主要記事、2面は解説、3面は解説やニュース、4面はいわゆる政治記事、5面はその他のニュースというかたちになっていた。その5面を削減して、その他のところに振り分けるというかたちになったのだろう。また、読み解きや検証、解説の充実は、分量ではなく、内容の充実だろう。

 また、最終版のエリア削減について、朝日新聞社は「新聞の降版(締切)時間と配布エリアの対応関係については、具体的な回答は控えます」としながらも、以下のように回答した。

「お客様のニーズや交通事情の変化などに加え、弊社の生産能力に応じて適宜見直しをしています。『版』は新聞制作及び輸送上使用している記号です。14版△も従来からある記号の一つですが、今春からは使用する頻度が増えました」

 ちなみに、これまで「14版△」は最終版の紙面完成以降にさらに情報を追加しなければならない場合に使用されていたもので、なかなかお目にかかれないものだった。
 
 また、朝日新聞社は3月末で世田谷生産技術実験所の操業を停止したという。この工場では、世田谷区や杉並区、武蔵野エリアなど朝日新聞のシェアがトップであるエリア向けの新聞を印刷していたが、そこを操業停止にしなければならないほど、新聞の部数はシュリンクしているのだ。ほかにも、群馬県や栃木県で夕刊の刊行を2月末で終了し、厳しい状況が垣間見える。

 産経新聞社にも「版」繰り上げについて聞いたところ、「『版』に関することについてはお答えできません」という返答だった。産経新聞社は所沢工場の閉鎖や人員削減などの大きなリストラを行うほど経営が厳しく、販売網も他紙に比べると専売店が少ない。コストカットのために降版時間を早めていると考えるのが自然だろう。

 さらなる部数減を恐れて値上げのできない新聞社は、紙面の削減や降版時間の繰り上げなど、さまざまな工夫をしてコストカットを行おうとしている。新聞部数の減少は、読者にも目に見えるかたちで影響しているのだ。
(文=小林拓矢/フリーライター)

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