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奨学金、一律で保証料“強制”徴収は支援機構の“問題隠し”だ…延滞者への取り立て、さらに厳しく

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「gettyimages」より

 今年1月、財務省と文部科学省は日本学生支援機構(以下、支援機構)の貸与型奨学金の仕組みを一部見直すことを発表した。その内容は、奨学生が保証人や連帯保証人を指定する「人的保証制度」を廃止して、保証人が不要な「機関保証制度」に一本化するというもの。2020年の春に正式に制度化されると、すべての奨学生から借入額に応じて一定額を保証料として徴収することになるという。

 現在、支援機構の奨学金制度を利用している学生は卒業後の返済を保証するために「人的保証制度」と「機関保証制度」のどちらかを選ぶことになっている。

「『人的保証制度』とは、親族を連帯保証人・保証人に指定するもの。もうひとつの『機関保証制度』は、保証人・連帯保証人を必要とせず、保証機関が本人の連帯保証を請け負う代わりに、学生から一定額の保証料を徴収する制度です。今回の発表は、『人的保証』を廃止して『機関保証』に一本化するというものですね」

 そう話すのは、奨学金問題対策全国会議の共同代表を務める中京大学国際教養学部教授の大内裕和氏だ。

「国や支援機構側は、見直しの理由を『長期の返済延滞者が増えて制度を圧迫しているため』『制度を安定させるため』としています。言い換えると、『奨学金を借りて返さないほうが悪い』というのが国側の主張です。しかし、実際に適用された場合は“すべての奨学生”から保証料を徴収することになります。奨学金の貸与額に応じて金額は変動しますが、貸与額の3~5%ほどを保証機関に支払わなければならず、学生の負担増は免れません」(大内氏)

 奨学金に頼るしかない学生からさらに保証料を徴収して、奨学金制度を安定させる……。なんとも本末転倒に思える策だが、大内氏は「制度の安定は、あくまで表向きの理由。本当の目的は“奨学金制度の問題隠し”では」と分析する。

「機関保証制度は、延滞している本人に代わって連帯保証機関が『元金・利息・延滞金』の残額を支援機構に一括で返済するのが特徴です。支援機構は保証機関を通して資金を回収できるので、表面上は延滞率を減らすことができてしまう。まさに“抜け道”というわけです。長く批判を浴びていた『延滞』の事実がなくなれば、支援機構の奨学金制度が表面上は『問題がない』と判断されかねません」(同)

 本人に代わって保証機関が返済するため、支援機構は資金回収率100%をうたうことができ、世間の批判をかわす口実になってしまうのだ。当然ながら、保証機関が奨学金を返済しても奨学生の借金がチャラになるわけではない。

「お金を返す先が変わっただけで、本人の状況は一切変わりません。それどころか、保証機関の取り立てが今より厳しくなる可能性もあります。人的保証の廃止は、なんの解決策にもなっていないんです」(同)

 本気で延滞率を下げたいのであれば、「国の予算を使ってでも対応するべき課題」と大内氏は話す。

「延滞率を下げる方法はほかにもあります。ひとつは、現在は無利子の第一種奨学金の返還者のみが対象になっている『所得連動返還型奨学金制度』をすべての奨学生対象にすることです。同制度は所得に応じて無理なく返済ができるので、自ずと延滞率は下がるはずです」(同)

『奨学金が日本を滅ぼす』 学びたい若者を助けるはずの奨学金の中身は有利子貸与が多く、実態は教育ローンそのものだ。そんな名ばかり奨学金の返済が、卒業後に否応なしにのしかかる。結婚できない、子どもを育てる余裕がない――こんな若者の姿にこの国のかたちが集約されている。次世代を苦しめて未来が開けるのだろうか? ブラックバイトに光を当てた著者が、解決策を含め奨学金問題を正面から取り上げる。 amazon_associate_logo.jpg

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