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世界最大のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」10年史【後編】

乃木坂46選抜メンバー出演ほどの感動はない…TIFが我々に提示してきた物語とは

文=ガリバー
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10年目を迎えた「TOKYO IDOL FESTIVAL 2019」の模様(撮影は編集部)

 8月の2日(金)、3日(土)、4(日)に開幕される世界最大のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」。“現場系”有名アイドルヲタク・ガリバー氏がつづる本連載では、【前編】に続き、この「TOKYO IDOL FESTIVAL」の歴史を振り返ります。

2014年、アイドリング!!!の解散とTOKYO IDOL PROJECTの発足

【前編】で述べた通り、当初よりTOKYO IDOL FESTIVAL(以下、TIF)は、アイドリング!!!あってのイベントであると認識されていた。そのため、その継続開催に対しては、毎年懸念されつつも続行されてきた印象があった。「来年は開催されるのか」「採算が取れているかどうかもわからないイベントのために、いつまでフジテレビがお金を出し続けるのか」「アイドリング!!!にとって“効果”はあるのか」――。

 その不安は2014年、アイドリング!!!の解散発表によってもっとも高まることとなる。長期持続がなかなか困難な女性グループアイドルという存在を、イベントの象徴として戴いていることの危険性があらわになったわけである。しかしここでフジテレビは、「TOKYO IDOL PROJECT」(以下、TIP)を発足させ、その不安を払拭してみせる。TIPの立ち上げによって、TIFを継続開催し、TIFを中心としたアイドル事業を展開していくという明確な意志を表明したのである。

2014年にメインステージ争奪バトル、TOKYOへの回帰

2014年からは、メインステージへの出演権をかけた「めざせ!HOT STAGE」も開始され、こうした“バトルステージ企画”は、TIP体制で再スタートを切った形となった2015年の第6回以降も続行していく。これは、ごく限られたアイドルしか立てないTIFのメインステージに、事前のファン投票によって勝ち残った1組が出演できるというもの。8月開催のTIFと通年で連携していくイベントが、TIP主催のもとで開始されるという点で大きな意味を持つものであったが、一方で、主に東京を活動拠点とするアイドルが参加するものとなっており、相対的に地方勢は参加しづらいという側面もあった。

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ブルーレイ『TOKYO IDOL FESTIVAL 2014 feat.アイドリング!!!』(ポニーキャニオン)

2016年、3日間開催、一方で問われるマナー

 2016年の第7回では、それまで2日間開催だったTIFがついに3日間開催となり、動員数も約7万6000人まで伸長、国内のフェスランキングでトップ10に入る規模となっていく。開催日に金曜日が加わったことにより、土日にみずからの単独公演やイベントを行うことが多い大手芸能プロ所属のアイドルが出演しやすくなった面もあろう。

 規模としてはより巨大化したが、同時にこの時期に問題となってきたのが、アイドルファンのマナー問題だ。それは、セキュリティ対策として、警備・ボディーガードを専門とするBONDSを会場内に配し始めたことからも見てとれる。BONDSの配置によって一般ファンの安全が確保されていった一方で、「ファン対BONDS」をおもしろがるような形で、TIFの注目ポイントが、ステージ上からステージ外へと移行していったことも意味する。その結果、ファンが盛り上がりやすいグループや、ファンの動きが活動的なアイドルに注目が集まることにも繋がった。

 そのことをもっとも象徴的な形で物語る事件となってしまったのが、SMILE GARDENにおけるベイビーレイズJAPANのステージだろう。同グループが前年にリリースした楽曲「夜明けBrand New Days」はSNSを通じ、アンセムソングとして広くアイドルファンに認知されるようになっていた。その結果、つめかけた一部聴衆の悪質行為をきっかけに、この楽曲の大サビで、サイリウムを空に向けて投げ飛ばしまくるという行為が同時多発的に発生。この曲がフェスで“封印”されるほどに、一部ファンらのマナーは悪化の一途をたどっていた。BONDSたちとの小競り合いが“アトラクション”化し、一部ファンがステージ最前列を集団で占拠する等の事案が目立ち始めた時期でもあった。

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2015年に発表されたベイビーレイズJAPANのシングル「栄光サンライズ」(ポニーキャニオン)。カップリング曲として「夜明けBrand New Days」が収録されている。

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