韓国政府は22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。
そもそも今回のGSOMIA破棄の発端は、日本が韓国を輸出管理で優遇対象となる「ホワイト国」のリストから外し、それに対し韓国が日本に同様の措置を取るなど、貿易戦争の様相を呈していることだ。
こうした日本政府の措置により、特に半導体関連メーカーをはじめ、日本企業に悪影響をおよぼす懸念も指摘されている。現在の日韓貿易戦争は、日本経済、および韓国経済に今後どのような影響を与えるのか。また、日本が韓国をホワイト国のリストから外したことは、正しい判断だったのかを考察したい。
一連の経緯の背景には、日韓関係の悪化がある。韓国は文在寅政権になってから、徴用工問題で日韓基本条約を履行しないという国際法違反や、レーダー照射事件、慰安婦問題での基金解散など、さまざまな問題を起こしてきた。文政権そのものが韓国内で典型的な左翼政権であり、親北朝鮮であることも、対日関係悪化の工作と無関係ではない。
ただし、日本は8月2日、韓国を輸出管理上の優遇国(グループA)から除外する政令改正を閣議決定したが、これは徴用工問題をめぐる報復ではなく、北朝鮮への横流しを懸念する安全保障上の措置である。
これに対して韓国は、日本をホワイト国から除外するという同じような措置で報復した。もし韓国が、日本が主張するように輸出管理上の問題としてとらえて、最終需要者などを特定するなどの措置を行えば、日本としても受け入れざるを得なったはずだ。外交的には、そのような反応のほうが賢い。
さらに韓国はGSOMIA破棄という手段に出た。これは日本の輸出管理とは無関係の事案だが、日米韓の安全保障の根幹を揺るがす暴挙だ。こうした韓国の対応を見ていると、まるで“子どものケンカ”である。あまりに感情的になりすぎて、まったく冷静でない。
韓国経済を大きく毀損
経済面への影響を考えてみよう。韓国が日本のホワイト国から外されたことは、韓国経済には大打撃だ。まず、輸出面であるが、韓国経済は輸出依存度が高いからだ。日本の輸出依存度は14.1%、韓国は37.7%。日本の輸出先のうち、韓国のシェアは7.1%、韓国の輸出先のうち日本のシェアは4.5%なので、日韓間での輸出不振からくるGDPへの影響度は、韓国のほうが日本より1.7倍大きい。