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中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」

今年こそ貯金したい人がすべき行動…リボ払い解約・格安スマホ・給料の15%強制貯金

文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー
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「Getty Images」より

「できるだけたくさん貯める」という目標がよくない理由

 新しい年を迎えて「今年こそ!」と何か目標を立てた方も多いだろう。特にお金の目標を立てることは、企業の予算づくりと同じで、とても大事だ。うまくやれば今年のあなたの人生は、正しい方向に向かって進んでいく。お金の目標を立てないのは、海の上を風に任せて漂う船に乗っているのと同じ。気楽だけど不安は消えない。どこにもたどりつけなかったり、行きたくないところに漂着したりする。

 貯めたい人は、「できるだけたくさん貯める!」という目標を立てがちだが、これでは「やったあ、目標達成できた!」「あと3万円で達成だ!」「半分まできたぞ」というふうに、具体的に評価することができない。「1年で5000円貯めた。上出来!」と開き直ることもできる。一方で100万円貯めても200万円貯めても満足できない人や、達成感が得られない人もいる。

 そこで今回は、今年のお金の目的地の決め方と、実行のプランニング方法をお教えしよう。

いくら貯めたらいい? 手取り年収の10~20%

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『50代のいま、やっておくべきお金のこと 新版』(中村芳子/ダイヤモンド社)

 お金の目標というと「貯金の額」と思う人は多い。しかし、貯金は多ければいい、というものじゃない。手取り年300万円の人が、食べたいものも、行きたいところも、買いたいものも我慢して年100万円貯めたとする。確かにすごい。でも、そのために友達が減り、話題がなくなり、病気になるかもしれない。もし、病気や事故で死んでしまったら、「もっと人生楽しんでおけばよかった」と思うに違いない。

 お金は将来のために「貯める」も大事だけど、今の人生を充実させるために「活かして使う」も大切。このバランスをうまくとるのが、マネープランのポイントだ。

 じゃあ、いったいいくら貯めたらいいか。

 答えは手取り年収の10~20%だ。普通の会社員が結婚し、家を買い、子どもを2人育てて老後に備える。これを全部実現するには、収入の15%を現役の間じゅう貯め続ければいい。根拠となる計算は企業秘密だが、シンプルでリーズナブルな数字を使っているので、ご自分で試算してみてほしい。たとえば、こちらのFP協会のライフプラン表(キャッシュフロー表)をダウンロードして計算してみるといい。

 人生では家族が増えたり減ったり、収入が減ったり増えたり、仕事を休んだり臨時収入が入ったりいろいろなことがある。ゆとりがあるときは多めに20%、厳しいときは10%、平均で15%をめざす。毎月の給料が25万円、ボーナスが年80万円の人なら、毎月3.75万円、ボーナスから12万円の年57万円が貯金の目安。これで年収380万円の15%になる。

 では、自分の収入から今年の貯金目標額をつくってみよう。

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家計の現実を直視する! 家計簿アプリを導入せよ

 次のステップは、これまでの自分のお金がどうなっていたかを知ること。現状がわからないと問題を発見できないし、解決策もわからない。貯めることはできない。一方で、お金が苦手な人が、毎日毎週、支出の記録をつけるのはほぼ不可能。

 ところが強い味方がいる。家計簿アプリだ。いろんな種類のアプリがあるが、私が薦めるのは、銀行口座、証券口座、クレジットカードを登録してアプリと連携させるタイプ。自分で入力しなくても、自動的に支出と収入を記録してくれ、預金残高もリアルタイムで教えてくれる。複数の口座とカードを、ひとつのアプリでリアルタイムで管理できるので超便利。お金が苦手な人にこそ使ってほしい。たくさんの家計簿アプリがあるが、個人的なお薦めは以下の3つ。

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  自分に合う家計簿アプリを見つけて、ダウンロード。口座やカードと連携して、まず1カ月の収入と支出を見てみよう。最初の設定はちょっと面倒だが、それがすめば、あとは全部自動でやってくれるのだから、ここはひとがんばり。収支(=収入-支出)は毎月少しずつ違うので、3カ月ほど続けると自分の支出の傾向が見えてくる。

 家計簿アプリのパワーを上手に使うには、現金での支払いを、できるだけデビットカードに切り替えること。現金で払うと自分で記録しなくてはならない。レシートの自動読み込み機能もあるが、意外に面倒。デビットカードなら、クレジットカードのように借金が膨らむリスクなしに、すべての支出と使ったお店が自動的に記録される。

無駄な支出を減らせ!

 家計簿アプリで支出が見えたら、次に取り組むべきは無駄遣いを減らすこと。「あなたの無駄遣いはなんですか?」そう聞かれて真っ先に思い浮かぶものは、ほぼ正解。飲み代や美容費など、無駄な支出はなんでも減らす工夫をしてみよう。必ずチェックしたいのは、次の6つ。ひとつでも当てはまれば、月1万円以上の節約が意外に簡単にできる。

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借金をなくす! 借金があると貯金できない

 もうひとつ貯金できない理由がある。借金だ。借金があると、無駄遣いをなくしても貯金ができない。借金があるなら、貯金を増やすよりも、まずは借金を返してしまうこと。借金返済中は貯金はできない(奨学金は別)。まず借金を返して、それから貯金をスタートする。

 陥りやすい借金は、クレジットカードのリボ払い。金利15%前後とべらぼうに高い。今、住宅ローンは1%以下の水準だ。もしリボ払いがあるなら、1日も早く貯金や給料やボーナスから全額を返してしまおう。そして二度とリボ払いは使わない。

 ポイントやマイルを貯めるため、クレジットカードをたくさん使う人もいる。とても危険。何かの拍子に、収入が減った、支出が増えたということがあると、返済ができなくなる。そのとき一括返済をリボ払いに変えたり、別のカードでキャッシングして返したりすると、借金がどんどん膨らんで返せなくなる。

 だから、借金がある人の今年の第一の目標は、これを全部返してしまうこと。

 全額が無理なら、できる範囲で繰り上げ返済して借金を減らし、1日でも早く返し終えよう。そして、今年は絶対借金しない。ただし、カードローンなどの残高がすでに年収の30%を超えているなら、自力での返済は難しい。すぐに消費者センターや市区町村の相談窓口、法テラスなどに相談しよう。

 さあ、いかがだろう。どれも簡単に実行できることばかりだ。以上を実行したら、あなたの2020年のお金は、すっきり明るく見えてくる。次のステップは、上手に投資を取り入れること。詳細はこちらのつみたてNISAの解説記事を参考にしてください。

(文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー)

※個人のお金の悩みに回答する「FP相談」を承っています。FP相談、および本記事に対するお問い合わせはこちらへ。50代からのお金の質問、悩み相談も受け付けています。

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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