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検察の“異常な逮捕・勾留”の犠牲者ゴーンに世界で同情広まる…村木氏冤罪事件の反省ゼロ

文=白川司/ジャーナリスト、翻訳家
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カルロス・ゴーン被告(写真:ロイター/アフロ)

「本来、日産(自動車)のなかで片づけてもらいたかった」

 1月8日、安倍晋三首相がカルロス・ゴーン被告の日本政府批判を受けて、こう語ったと報じられた。日産の一連の事件に対する安倍首相の本音だろう。

 同日、レバノンの首都ベイルートで行われたゴーン被告の記者会見に戦々恐々としていた関係者も多かったはずだ。事前には「この事件に関係した、あらゆる人物の名前が出されて、日本政府もかかわっているという“陰謀説”を中心に、日産幹部への批判が展開される」と語られていた。不法行為とはいえ、日本から無事に脱出できた以上、ゴーン被告とすれば日本人関係者に遠慮することもなくなっていたからだ。

 ところが、実際の会見では、西川廣人元社長など複数の幹部が自分の逮捕に関与したと述べる程度で終わった。「日産とルノーの経営統合を進めようとしたことで、トラップを仕掛けられて失脚させられたクーデターだった」という、これまでも一部で報道されて内容で、新しい材料は皆無だった。

 この背景には、日本政府からレバノン政府への圧力があったと一部で報じられている。そうだとすれば、わざわざ首相自身が乗り出さざるを得なくなったことについて、冒頭のような愚痴が出たことも納得できる。また、日本はレバノンに対してヨーロッパ主要国なみの経済支援を行っており、レバノン政府側もある程度、日本に配慮せざるを得ない面もある。

 ただし、日本政府の圧力も日産を守るためだけに働いたようだ。日産には軍事力にも転用できる高い技術がある。また、倒産危機などを招いて中国企業に買収されるようなことになれば、虎の子の技術が中国にとられるリスクもある。そうなれば米国も黙ってはいないだろう。つまり、事は日米関係にも及びかねないのだ。

ゴーン逃走劇にはフランスも加担か

 ゴーン被告の逃走劇にはレバノンのみならず、フランスがかかわった可能性も浮上している。

 まず、フランスの重要企業であるルノーは政府と強いつながりがあり、かつルノーは日産のEV(電気自動車)技術を喉から手が出るほど欲しがっているからだ。これまでの欧州車の環境技術は、眉唾物ばかりだった。トヨタ自動車の技術についていけなくなると、クリーンディーゼルをうたって、環境負荷が高いディーゼル車の普及を押し進めていった。だがそれも、排ガス不正問題で頓挫してしまった。

 そこで浮上したのがEVだった。だが、ディーゼル車に傾倒していた欧州はEV技術が遅れていた。そこで目を付けたのが、日産の技術だったわけだ。

 1月6日付夕刊フジに掲載されたジャーナリスト・須田慎一郎氏の発言によれば、ゴーン被告が日本脱出を図った関西空港の管理はフランスの会社によって行われており、その親会社がゴーン被告と親密なフランスの大手建設会社であるという。そうなると、フランスがゴーン被告逃亡にかかわった可能性も、まったくないとは言い切れない。というのは、ゴーン被告の罪状がルノーの立場にも影響を与える。ゴーン被告が一方的な被害を訴えているが、国際世論が味方になればルノーの日産吸収は継続できるかもしれないからだ。

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