2020年度 大学入試センター試験(アフロ)

 来年1月実施予定の大学入学共通テストで、またしても試験の公平性を揺るがす癒着疑惑が浮上した。産経新聞インターネット版は16日、『入学共通テスト、問題作成委員らが例題集を出版 「疑念持たれる」と指摘受け複数辞任』と題する記事を公開した。報道によると、国語の問題を作成する分科会の複数の委員が昨年8月、導入予定だった記述式に関する例題集を民間の出版社から発行。その後、利益相反などの疑念を指摘されて委員を辞任していたことがわかったというのだ。同報道では、次のように事の経緯を説明する。

「問題となったのは、東京の大手教科書会社から昨年8月発行された共通テスト・国語記述式対策の市販本(定価2200円)で、教師や受験生向けに10の問題例と解答、解説、正答条件を掲載。記述式問題をめぐっては、正答条件が複雑なため自己採点が難しいとの批判があったが、そうした不備を補うような内容だ。

 関係者によると、この例題集の執筆陣に、共通テストを運営する大学入試センターが設置した『国語問題作成分科会』の分科会長と委員数人が含まれていた。分科会長は、来年の共通テストの国語問題作成における統括役だったという」

「共通テストの問題作成過程は最高機密」

 文部科学省の関係者は次のように嘆息する。

「共通テストの内容は極秘中の極秘です。『問題用紙が当日まで、どこに保管されているのか』などが、さまざまな都市伝説としてインターネット上で議論されるほど機密性の高いものです。基本的に誰が作成したのか、また作成にあたって有識者間でどのような議論がなされ、どのような傾向になっているのかなど、業務上知り得た秘密を生涯守秘することが大学入試センターの規則で定められています」

 にもかかわらず、国語の問題作成責任者らが、民間の書籍で問題の傾向を明らかにしてしまうというのは異常だ。問題作成者が書いた著作を読んだ受験生とそうでない受験生で、明確な差がつく可能性があるばかりか、「的中率の高い予想問題集」をつくって販売することが可能になってしまうのではないか。

版元「共通テストの作成担当者とは知らなかった」

 また、ここまでの事実を把握しながら、なぜ、産経新聞は当該出版社名と問題作成委員の名前を明かさなかったのか。当サイトでファクトチェックを行ったところ、当該出版社は教育出版(東京都)で、発行した書籍は『新時代の大学入試国語記述式問題への対応―10の問題例とその解説』(幸田国広編著)であることがわかった。編著者の幸田国広氏は早稲田大学教育総合科学学術院准教授で、専攻は「国語教育の理論と実践」という。