デサント、18年ぶり赤字転落、伊藤忠が買収直後に…問われる“敵対的TOB”の是非の画像1
デサント・SKY LO(「Amazon HP」より)

 スポーツ用品大手デサントは2020年3月期の業績予想を下方修正した。連結最終損益は10億円の赤字(19年3月期は39億円の黒字)になる。最終赤字は18年ぶり。年間配当も無配(前期は1株26円の配当)とする。

 19年11月6日、業績予想を下方修正していた。売上高は期初予想の1440億円から1308億円、営業利益は80億円から11億円、純利益は53億円から7億円にそれぞれ引き下げた。売上高の約5割を占める韓国法人デサントコリアが、19年7月以降日韓関係の悪化による不買運動の影響をもろに受けた。韓国ではデサントのほか、水着のアリーナ、ゴルフのマンシングウェアなど5ブランドを展開。韓国事業は営業利益の大半を稼ぐ生命線である。

 今回の下方修正では、売上高と営業利益は従来予想を据え置いたが、最終損益は赤字に転落する、とした。子会社の売却や清算に伴い17億円の特別損失を計上するためだ。「inov-8(イノヴェイト)」ブランドでオフロードランニングシューズなどを手掛ける英子会社5社を売却、スキー用品のカナダ子会社は清算する。いずれも販売不振が続き再建は難しいと判断した。

 業績悪化の最大の原因は、日韓関係悪化による韓国での不買運動だ。19年4~12月期の連結売上高は前年同期比8%減の928億円、純利益は38%減の17億円だった。土橋晃取締役は決算発表会見で、「減収減益の大部分は韓国の業績によるもの」と説明した。韓国子会社の決算期は本体とずれており、昨夏に日韓関係が悪化してからの業績は4~12月期に初めて反映された。韓国事業は19年7月以降、30%の減収が続いている。

 敵対的買収でのTOB(株式公開買い付け)を経て就任した伊藤忠商事出身の小関秀一・新社長の下、中国事業の拡大を成長の柱に据えた。しかし、中国のスポーツ用品大手、安踏体育用品(ANTA)との協業についての交渉は続いており、具体的な事業計画は示せていない。新型コロナウイルス肺炎の業績への影響も見通せず、不安要素が残る。

 不振の日本に加え、韓国と中国の事業でトリプルパンチを食らった。来期(21年3月期)は黒字転換できるのか。伊藤忠の敵対的買収の是非が問われることになるかもしれない。

デサントの株価はTOB価格を大幅に下回る

 伊藤忠商事は19年1月末、持分法適用会社のデサントの敵対的TOB(株式公開買い付け)に踏み切った。デサント側に事前に通知しなかったうえに、直前の株価に5割という高いプレミアム(上乗せ)を支払うという日本では異例ずくめの買い付けだった。創業家出身の石本雅敏社長(当時)と筆頭株主の伊藤忠が対立。「韓国一本足打法はリスクが高すぎるとして中国事業の拡大」を求める伊藤忠に、韓国で成功したと自負する石本社長が反発した。

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