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自動車の維持費は想像以上に高い!新車のコンパクトカーを購入、10年で驚きの出費に

文=中西厚/ライター
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「gettyimages」より

 新型コロナウイルスの影響で経済が減速し、世の中の節約志向は明らかに高まっている。雑誌やインターネットでさまざまな節約術が紹介されているが、もっとも効果の高い節約は何かを考えると、なんといっても自家用車を手放すことではないだろうか。

 我が国の自家用乗用車の保有台数はなんと6000万台にも達し、30年前の約2倍となっている。バブル崩壊をきっかけとした不況から抜け出せず、失われた20年と呼ばれ、日本経済は低成長だと言われて久しいが、それでも自動車産業は日本の基幹産業として成長し続けてきた。

 そんなわけで、一家に1台、自家用車を所有するのが一般的となっているのが現状である。しかし、どれだけ車が家計を圧迫しているかを意識している人は案外少ないのではないだろうか。

 日本の自家用車の維持費は世界一高額とも言われている。毎月のガソリン代や保険代など、その都度の出費で負担を感じることはあっても、車を所有することがトータルでどれだけの負担になっているか、真面目に計算している家庭は少ないはずだ。

10年で460万円超!年収の10分の1が消える?

 そこで今回、一般的なケースとして、諸費用込みで200万円、1000~1500 cc、車両重量1000~1500kgの新車のコンパクトカーを10年間使用すると仮定。ガソリン代を平均140円、燃費を平均15km/lとして、年間平均5000km走行した場合の車両代金と維持費の合計を計算してみた。

 車両はホンダ「フィット」のノンハイブリッドのグレードであれば、上記とおおむね合致していると思われる。重量税は、エコカー減税は終了しているものとして通常の金額で計算した。

購入代金 2,000,000 諸費用込み
ガソリン代 460,000 年間約5000㎞ / 15km/l ×140円×10年
自動車税 345,000 年額34,500円×10年
重量税 98,400 車検毎に24,600円×4回
自賠責保険 86,200 車検毎に21,550円×4回
12か月点検 100,000 毎年10,000円×10年
タイヤ交換 60,000 20,000km毎に交換:10年で2回
オイル交換 15,000 エンジンオイル交換5,000円×3回=15,000円
その他整備 50,000 ブレーキ、ライト、ワイパー、冷却水など
任意保険 400,000 年間平均40,000円×10年
駐車場代 1,200,000 年間120,000円×10年
売却益 -200,000
合 計 4,614,600

 

 なんと、10年間でかかる金額の総額が460万円以上という驚きの結果となったのである。決して贅沢ではない1000~1500ccクラスの車であっても、購入・維持で年間40万円前後の支出があるということは、一般的なサラリーマン男性の手取り年収を500万円とすれば、下手すると10分の1が車に消えていることになる。

 上記試算は、高速道路の利用をしない日常使いを想定したものだが、高速利用ありで走行距離が伸びる場合は、高速代・ガソリン代・消耗品代などで、より大きな出費となる。

 加えて、年間数十万~100万円以上の住居費、子どもの教育費、さらに近年は給与の伸びが鈍いなか、物価や税金なども軒並みアップし続けているとくれば、家計が苦しくなるのも当然の結果と言えよう。

 車の所有を前提に駐車場付きの一戸建てに住む、中古車で我慢するなどすればコストを抑えることも可能だが、それでも最低年間20万円以上はかかってしまう。コンパクトカーですらこの結果ということは、特に都市部においては、車を所有することそのものが、もはや贅沢になってきたのかなという印象を持たざるを得ない。

 地方の農村部であれば、交通網が発達していないために車の所有は止むを得ないことも多いだろう。しかし現状は、都市部であっても、毎週末に買い物やレジャーのための交通渋滞が発生しているのを見ると、低成長の時代にあっても車中心の社会は根強く残っていると感じる。

 特にファミリー層のなかには、休日に家族で郊外のショッピングモールでの買い物を楽しんだり、コストコのような大型店舗で買いだめをして節約につなげたいと考えたりする人も多いと思うが、果たしてこれは経済面で合理的と言えるのだろうか。

カーシェアやタクシー、生協の利用で安上がりに

 そこで、新たな視点で車の維持費を考えてみよう。上記の試算を走行1㎞あたりに当てはめてみるのだ。年間5000㎞走行は10年間で5万kmになる。購入代金と維持費の合計が10年間で約460万円とすると、走行1kmあたり100円近くかかっている計算となる。

 単純に計算すると、たとえば郊外のショッピングモールに往復20kmかけて行く場合、車移動で2000円近くかかることになる。多少維持費が安いケースでも1000円以上だ。いくら安値が売りのショッピングモールであっても、車移動にこれだけのコストがかかるとなると、節約につながる行動だとは言えない。

 それならば、車を手放した上で、多少値段は高くても近所のスーパーで買い物をするほうが合理的だと言える。たとえ買い物が不便な地域であっても、現在はインターネット通販や各種宅配サービスも普及している。必ずしも店舗に出向かずとも、日常生活を成り立たせることは十分可能だ。

 たとえば、生協の宅配(CO・OP)を利用すれば、毎週1回注文することで、翌週に200円ほどの手数料で届けてくれる。商品も、生協のなかでも大手の業者であれば、食品だけではなく生活に必要な日用品は、ほぼすべて揃うようになっている。最大手のコープデリの場合、1回6000円以上の注文で手数料が無料になる上に、商品代金も一般的なスーパーと比べて大差がないことも多い。

 買い物は上記のように済ませるとしても、たまに車を使って遊びに行きたいときもあると思うが、そんなときはレンタカーやカーシェアリングを利用すればいい。月間平均1万円として、年間12万円で済むことになる。

 また、日常生活でどうしてもドアツードアが必要な場合はタクシーを利用すればいい。車の維持費を考えれば、月数回、近場であればタクシー利用も高くはないと思うし、現在は都市部を中心にスマホアプリでタクシーを呼べるようになり、到着時間も早く利便性が高くなっている。

 思い立ったときにすぐに移動ができる利便性、ドアツードアの快適さやドライブの楽しみ、そして自分の好きな車を所有する喜び……。車を持つことで感じる豊かさに価値を見いだすのならば、年間数十万円の出費も高額ではないだろう。

 しかし、車を持つ理由が買い物やたまの遠出のためだけであり、ただの生活必需品と考えているならば実情は異なる。特に交通網の発達している都市部在住であれば、自宅周辺のスーパーや娯楽施設、レンタカーやカーシェアリングの有無を調査の上で、車を所有しないライフスタイルを検討するのも手だ。

 車ではなく徒歩や自転車を使うと、健康面でもプラスにはたらく。一石二鳥のメリットもあるのだ。

(文=中西厚/ライター)

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