
どこからどこまでが三井グループか
雑誌・週刊誌の特集で三井グループや三菱グループの特集が組まれると、トヨタ自動車や東芝が三井グループの企業だと分類されていることがある。
しかし、トヨタ自動車はトヨタグループ(のトップ)であって三井グループ(の一員)ではないし、同様に東芝も東芝グループであって三井グループではない、というのが一般的な認識であろう。ではなぜ、トヨタ自動車や東芝は三井グループ企業に分類されるのだろうか。そもそも、「三井グループ」の定義はなんで、どこからどこまでの企業をその構成員と呼ぶのだろうか。
実は決まっていない「グループの定義」
三井グループには、三井広報委員会といって、三井グループのことを対外的にアピールする組織があり、ホームページ【https://www.mitsuipr.com】を立ち上げている。ところがそこでは、三井グループがなんであるかが語られていない(すみません。はじからはじまで閲覧すれば、どこかにあるかもしれませんが)。トップページの「当会の概要」には、三井グループの存在を前提として、三井広報委員会の設立目的や活動・理念が語られているが、三井グループそのものがなんであるかは触れられていないのだ。
なお三菱グループでは、グループのホームページがあり、そこで、三菱グループについて以下のように語っている。
「三菱グループ」の明確な定義はありません。会長・社長の会である三菱金曜会を例にとれば、27社がグループのメンバーということになります。また、共同で広報活動を行う三菱広報委員会の場合は、約40社となります。ここmitsubishi.comでは、三菱グループ会社検索ページの対象となっている約600社の三菱ホームページ委員会会員会社・団体を「三菱グループ」と呼んでいます。三菱金曜会メンバー及びその関連会社により構成されています。
(mitsubishi.com内、「三菱グループとは」のなかの質問コーナーより)
つまり、三菱グループがなんであるかの明確な定義はなく、そのメンバーの範囲も決まっていないと、三菱グループが認めているのだ。おそらく三井グループも同様に、グループの定義とメンバーの範囲が明確ではないからホームページに書いていないのだろう。
では、雑誌・週刊誌の特集においてトヨタ自動車や東芝が三井グループ企業だと分類されている根拠はなんなのだろう。
三井の二木会になぜトヨタ、東芝が?
先述の通り三菱グループのホームページでは、広義には約650社、狭義では三菱金曜会の27社を三菱グループ企業だと定義しており、暗に「会長・社長の会である三菱金曜会」のメンバー27社がグループの代表企業であると示唆している。
三井グループにも「会長・社長の会」として二木会(にもくかい)がある。実はトヨタ自動車や東芝は二木会メンバーなのだ。だから「三井グループって、どこからどこまでがメンバー企業なのか」と考えたとき、「二木会に入っているから、トヨタ自動車や東芝も三井グループなのかぁ(?)」と分類するしかないのである。
ちなみに、二木会メンバー、および三菱金曜会メンバーは下表の通りである。

三菱金曜会メンバーがほぼ三菱商号を冠しているのに対して、二木会メンバーは三井商号を冠している企業が比較的少ない。だから、なんとなく納得感がないのだ。