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アマゾンを支える「SBS」とは何者?運輸業界の異端児、大手の一角に急成長した手法

文=編集部
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SBSホールディングス HP」より

 物流サービスSBSホールディングスは5月26日、東芝傘下の東芝ロジスティクスの株式66.6%を約200億円で取得し、連結子会社にすると発表した。10月1日をメドに東芝ロジの株式取得を完了し、2021年1月から連結対象とする。東芝ロジの子会社15社もSBSHDの傘下に入る。東芝ロジは大型の精密機器の輸送に強みをもつ。SBSHDは取り扱い貨物の幅を広げ、国際輸送の強化につなげる。

 東芝は米国の原子力発電事業の巨額損失により経営危機に陥り、経営再建を進めている。18年度に策定した19~23年度の中期経営計画では、国内外の子会社の25%削減を掲げる。今回の株式の売却により、東芝ロジの子会社を含めて16社が連結対象から外れる。東芝ロジの残り33.4%の株式は東芝が引き続き保有する。

リコー物流子会社の買収で業績が大幅に向上

 SBSHDはM&Aを成長の糧にしてきた。18年8月、リコーの物流子会社、リコーロジスティクスの発行済み株式の66.7%を約180億円で取得した。残る33.3%は、リコーが大塚商会との共同出資会社を通じて保有を続けている。リコーは主力の事務機器が低迷していた。半導体子会社を売却するなど事業整理を進めてきた。リコーロジの売却で、リコーは19年3月期に約120億円の売却益を計上した。

 リコーロジは、19年1月、商号をSBSリコーロジスティクスに変更。20年4月、国内子会社6社を合併し、SBS三愛ロジスティクスとして再スタートを切った。SBSHDはリコーロジ買収をテコにして、企業物流を一括して請け負う「3PL」を中心とした事業拡大につなげた。

 SBSHDの2019年12月期の連結決算は、売上高が前期比25.6%増の2555億円と過去最高となった。営業利益は23.5%増の101億円、純利益が37.9%増の60億円だった。リコー系物流会社SBSリコーの業績が通年で寄与した。SBSリコーの売上高は745億円で全売上高の3割を占め、営業利益は16億円をあげた。20年12月期の連結業績予想は、売上高は前期比3.7%増の2650億円、営業利益は10.1%増の112億円、純利益は6.9%増の65億円を見込む(増加率は億円以下の数字を加味している)。

 東芝ロジの買収で合計売上高は3800億円となり、SBSHDによると「陸運倉庫業界で第10位の企業規模になる」という。新興運輸会社、SBSHDはベスト10の一角に食い込むほどの急成長を遂げた。

小が大をのむ買収で急成長

 創業者の鎌田正彦社長(61)は宮崎県延岡市生まれ。小学生の頃、父親の事業の失敗を経験。中学時代からアルバイトに明け暮れた。宮崎県立延岡高校卒業後、佐川急便に入社し、8年間ドライバーとして勤務。起業資金を貯めて独立。1987年12月、1都3県での即日配送をセールスポイントにした関東即配を設立、軽トラック数台で仕事を始めた。

 2003年12月、日本証券業協会に株式の店頭登録。株式を公開したことで得た資金で、かねてから視野に入れていたM&Aに乗り出す。初期のM&Aは、自社より大きい会社をターゲットにした。04年4月、雪印乳業から雪印物流(売上高380億円)の株式90.22%を30億円で手に入れた。現在のSBSフレックで全国的なチルド物流網を構築した。05年5月、東京急行電鉄(現・東急)系列の常温物流の東急ロジスティック(売上高332億円)の株式94.89%をTOB(株式公開買い付け)により156億円で買った。現在のSBSロジコムである。関東を中心としたドライ品の物流を整備した。

 12年12月、東証2部に上場。13年12月、東証1部に指定替えとなった。14年7月、インドで航空および海上の物流事業を営むTranspole Logistics(売上高140億円)の株式66.0%を74億円で買収するなど、M&Aの矛先は海外に向かった。

大型物流施設を建設してファンドに売却

 これまで物流業者が手を出さなかった手法も駆使した。大型物流施設を建設、1~2年後に私募ファンドに売却して資金を回収した。物流施設の建設とファンドなどへの売却は不動産業界では珍しくないが、物流会社、特にSBSHDのような中堅企業がこれをやるのは珍しい。

 物流施設を持っていることを武器にして、有力な顧客を獲得した。アマゾン・ジャパン(東京・目黒区)の荷物の配送を請け負うようになった。アマゾンはヤマトホールディングス(ヤマト運輸)への依存度を下げるため、「デリバリープロバイダー」と呼ぶ地域中堅業者への委託を増やしてきた。即配はSBSの創業の原点である。アマゾンの東京都内の荷物配送を請け負うようになる。

 企業の保管・流通の物流業務を一括で請け負う「3PL」と、一般消費者向けの即日配送サービスが物流事業の2本柱だ。M&Aに積極的なことと、アマゾンとの取引が増えていることに株式市場が注目した。さらにM&Aを重ね、鎌田社長は「運送業界の上位5入りを目指す」と鼻息は荒い。

(文=編集部)

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